|はじめに|

 本書は「海洋環境調査法」(日本海洋学会編集、1979年)、「沿岸環境調査マニュアル[底質・生物篇](同、1986年)に続くものである。  最近の海洋学・化学・微生物学および関連科学と技術の進歩には目覚ましいものがある。しかし、きわめて高度の知識と技術を要する現場の調査・サンプリング手法、高価な最新の機器を駆使した分析法などが、必ずしも調査マニュアルに適当であるとはいえない。本書で取り上げる方法は、実際に我々(執筆者等)が使っており、それによりデータを得ているものに限ることを編集方針とした。本来、沿岸海域の調査は一般に通じる確立された手法があるわけではなく、それぞれの調査目的ひとつひとつの現場に応じた適当な方法が考えられるべきのもであろう。各執筆者の持つ情報や経験をマニュアルに盛り込むことは読者が最適の方法を考える際に大いに役立つであろう。

 本マニュアルは沿岸を対象としている。海側は水深200mまでの浅海域を扱うことを想定し、したがって外洋深海に適した測器や採取器具には触れていない。一方、陸側は感潮河川域まで考えることにした。ごく沿岸域の最も著しい現象は淡水と海水の混合に伴うものであるためである。本書で“河口域”という言葉がしばしば使われるが、河口の内外を含む感潮域を指す。また、用語や単位は広く一般に使われているものを使用するようにした。例えば塩分については、長年の習慣に従って‰(パーミル)を使用した。

 本マニュアルの水質篇は、調査概説、技術的諸問題、現場型センサーによる場の測定、富栄養化関連物質の分析、無機汚染物質の分析、有機汚染物質の分析、実施例と結果の解釈の7章よりなる。また微生物篇は、調査目的、微生物を取り扱うための準備、サンプリングと試料の処理、現場の定量的な調査、個々の微生物群に関する調査、細菌相に関する調査、微生物調査に関する試料の7章の構成とした。内容、分野も多岐にわたるが、それぞれに、より具体的な事項を取り入れ記述し、また各章が有機的に関連するように努力したつもりである。とくに水質篇の第1章は再三再四に及ぶ内容の検討を行い、単に水質調査のみならず、沿岸調査全般にわたる指針となる内容であると思う。

<著者>
石丸隆 絵面良男 大和田紘一 岡本拓 奥積昌世 小倉紀雄 河合章 川崎康寛 岸野元彰 木村凡 木暮一啓 坂田泰造 鷺猛 下島公紀 清水潮 杉田治男 杉野邦雄 高田秀重 田辺信介 椿啓介 坪田博行 豊田恵聖 中井俊介 中山英一郎 乗木新一郎 畑幸彦 半田暢彦 平尾良光 平木敬三 福島実 藤井建夫 藤澤浩明 米田義昭 前田昌調 前田勝 三田直樹 三好英夫 山崎富夫 吉村廣三 脇本忠明

 
ウィンドウを閉じる