|
本題名のプロジェクトは,平成元年度赤潮対策技術開発試験において「赤潮関与バクテリアに関する研究」として農林水産省の委託事業で始められた。平成2年度から「マリンバイオテクノロジー赤潮被害防止技術開発試験」に変名され、バイオテクノロジーの技術を新たに導入して微生物による赤潮発生の生物学的予察と防除技術を開発することになった。
主な研究内容は、(1)対象藻を用いたAGP試験、(2)細菌関与のAGP試験による赤潮藻殺藻細菌の消長、(3)バイオアッセイ試験による赤潮藻殺藻細菌の検索、(4)殺藻細菌の殺藻・溶藻作用の解析、(5)赤潮発生予察のための方法の開発:モノクローナル抗体、DNAプロープなどによる赤潮藻および殺藻細菌の識別による生態の解明、(6)細菌による赤潮藻検出のためのバイオセンサーの開発、(7)細菌等をバイオリアクターとすることによる赤潮藻防除技術の開発である。この研究は世界的に関心がもたれているものの殆ど未知の分野であったが、この5年足らずの間に興味深い現象が見出され、新規の微生物も発見された。
本研究の目ざすところは、これらによって得られた成果をもとに、生態学的な裏付けのある環境にやさしい手法によって、赤潮藻発生の防除を行おうとすることにある。その目標の達成にはほど遠いが、その成果はめざましいものがあり、とりわけ、上記(1)〜(4)についてはそれなりのまとまりが出て来たので日本水産学会シンポジウムにおいて発表するにふさわしいと判断した。演者には、このプロジェクトに参加されている方々のみでなく、これに関連した研究をされている方々にもその成果をご披露していただいた。講演の際にも、多くの有意な討論がなされ、有用なアドバイスをいただいたが、本書についてもご批判、ご討議下されば幸いである。
|