|はじめに|

 本書は、恒星社厚生閣の企画による「新水産学全集」の一巻として刊行されたものである。この全集のうち水産物の化学と利用に関連するものとしては4巻あり、そのうち「水産利用化学」・「水産加工技術」・「水産加工機械」の3巻はすでに発刊されており、本書はそれらとの姉妹篇ともいうべきものである。
 本書の類書としては、古く1962年に出版された、東北大学名誉教授土屋靖彦博士の名著「水産化学」があり、多くの研究者や学生に参考書、あるいは教科書として利用され、この分野の学術の進展と教育に大きな貢献をした。

 しかし、水産生物に関する化学的ならびに生化学的研究が長足の進歩を遂げ、それらの研究成果を集大成した専門書が待望されていたにもかかわらず、今日までそれが実現されなかった。これは、研究の進展があまりにも広範かつ急速なため、甚大な新知見を1冊の書籍に集約することが難しかったことが大きな理由と思われる。このたび編者はその困難な役割を担うことになったが、幸い11名の有能な研究者にそれぞれの専門分野の執筆を快くお引き受けいただき、ここに上梓することができた。
 前述のごとく各分野の新しい知見が極めて多いため、それらをすべて本書に包含することができず、最新の研究成果を盛り込みつつも基本的な事項の記述に止めざるを得なかったところが多い。

 したがって、水産化学専門の研究者のとっては物足りない部分も多いと思うが、これは水産生物化学や水産物利用学を専攻する学生の教科書としても、またこれらの研究分野に関心をもつ他分野の研究者・技術者・学生の参考書としても役立てたいという編集方針によるものであり、不足部分は参考文献によって補っていただきたい。

 
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