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現在の日本の青年(16〜29歳)が生まれ育ったのは、ほぼ1970年代前後以降のことである。この時代、日本は世界的な経済大国に成長し、情報化社会・国際化社会・高齢化社会を足早に迎え、同時に、「都市と農村」の時代を終え、誰もが都市的生活様式(ライフスタイル)をもつ「都市型社会」のなかで、「豊かな生活」を享受するようになった。
この時代に生まれ育った青年は、いわゆる団塊の世代を親とする、団塊ジュニアの世代であり、いいかえれば、戦後50年目の戦後第2世代である。現在の「青年」を解く基本的なキーワードは、少なくとも「世代」と「都市」であるといっていいであろう。
この青年世代の特質はどんなところにあるのだろうか。戦後の社会は大きく変動し、戦後世代も2代目には入り、青年の行動や文化は、当然、大きく変化しているに違いない。実際に、今日の青年の行動や文化については、非常に多くの言説が飛び交っており、その今日的な特徴もいろいろと指摘されている。
その中には、たとえば青少年の「いじめ」、登校拒否、拒食・過食などの、昔とは異なる社会問題についての言及も少なくない。しかしながら、今日の青年に関する言説は多いが、実証的な研究は、実は、意外に少ないのが現状である。青年について語るとき、今日もっと多く必要なのは、実証的な研究である。
われわれ青少年研究会グループは、これまで青少年問題について研究をつづけてきたが、この3年間は、「世代」と「都市」をキーワードとし、東京と神戸の青年を対象にして、青年の人間関係、メディア接触行動、意識の準拠枠(自己意識や価値意識)などの問題を中心に、実証的な研究を試みてきた。
その成果をひとまず取りまとめたのが本書である。本書は、今日の青年の行動や文化について、必ずや多くの新しい知見や示唆を提供していると確信する。
われわれのこの青少年(問題)研究会は1982年にできて、10年以上の研究活動の歴史をもち、メンバーも少しずつ増えてきた。その間に、恒星社厚生閣のご協力により、『青年そして都市・空間・情報』(1987)、『メディア革命と青年』(1989)、『青年文化の聖・俗・遊』(1990)、『青年の地域リアリティ感覚』(1990)などの研究成果を世に問い、また研究会が中心になってきわめてユニークな社会学入門書『社会学の宇宙』(1992)も編集したりしてきた。
本書は、これらの研究成果をふまえて「都市と世代文化に関する実証的研究」のテーマのもとに、文部省の平成4・5・6年度科学研究費補助金(総合研究A)を得て行われた研究の報告書を基盤としたものである。報告書ではあるが、しかし、非常に刺激的で興味深い研究成果を内容としており、おそらく多くの人々の関心を惹くにちがいない、といえるように思う。実際、この研究成果を、社会学の研究者に向けた報告書に終らせるには惜しいという声が研究会内部で強くなり、青年世代の問題に関心をもつ多くの人々に読んでもらえるように、単行本の形で刊行することになったものである。
研究会は、20代の大学院生から60代に届きそうな「高齢」の研究者まで、多彩なメンバーで構成されているが、本書の執筆は次の11名が担当した。このうち、高橋が監修の役割を担当し、川崎賢一氏・芳賀学氏・小川博司氏が中心になって編集を行った。なお、研究活動の運営は、川崎健一氏・藤村正之氏・芳賀学氏があたった。
この研究成果の一部は、中間報告として、川崎賢一・芳賀学両氏により「URBAN YOUTH CULTURE CONTENMPORARY JAPAN」のタイトルで、1995年7月の世界社会学会(ドイツ)で発表され、各国の研究者の多大の関心を惹き、注目された。本書の第U部の最後にこれを収録している。これが契機となって、世界都市青年の国際比較の社会学的な共同研究を希望する声なども届くようになっている。
本書の原稿がそろいつつあった1995年1月17日、兵庫県南部地震が起こり、神戸市はいわゆる阪神大震災に見舞われた。われわれの調査対象として協力していただいた神戸市(灘区・東灘区)の青年たちも、大地震に遭遇したはずであるが、その青年たちが無事で生活していることを祈らずに入られない。われわれの研究グループの小川博司・富田英典の両氏も、大地震に見舞われたが幸い無事であった。いずれの方々も、一日も早く、従前のような普通の生活に戻り、活躍されんことを心から願っている。本書の研究成果は、期せずして大震災1年前の神戸の青年の実態を伝える貴重なデータとなった。これは大切に活用しなければならないと思う。
この大震災において、青少年のめざましいボランティア活動は、マス・メディアによってしばらくの間連日のように報道され、全国の人々に大きな感銘をあたえ、ボランティア元年とさえいわせるような、大きなうねりとなって、自治体を動かし、政府をも動かしている。中には、現代青年の見方を変え、従来とは逆に高く評価する識者も、マス・メディアには登場した。青少年研究に関する重要な課題を鮮明に提起した形となったと痛感する。
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