|はじめに|
 世紀末をどのように認識し、21世紀をいかに展望したらよいでしょうか。20世紀は生物が生息する地球環境を人間の手で破壊する過程であったという歴史認識を否定することができるでしょうか。イノベーションは科学の成果とされてきましたが、その科学の進歩が「人間の生命」「人の生活」そして、「人の幸せ」を脅かす元凶だったことになります。殊に、後半世紀は「ディスウェルフェア」を生み出し、その症状を悪化させてきました。
 改めて、総合科学の立場から「科学」を問い直し、特に「福祉」の分野では、社会保障および社会福祉の体系を見直し、なかでも「パイの論理」の破綻への対処、生活を守るための「アクティブな開発」をすすめることが、責任であり課題であると考えます。
「ウェルビーイング」を支える基盤は危機に瀕しています。超少子高齢社会の到来、金融・財政危機、法・制度の劣化などの諸条件下で、「地球環境対策」「経済不況対策」「行財政改革」「心理的・精神的不安感払拭」が求められています。
 時代認識は「バラ色」にはなりません。それだけに、「人の生命」「人類の安らぎ」「国民の福祉」は21世紀をどう展望するかにかかわるので、「幸づくり」を専門とする学者・研究者の責任は大であると申せましょう。
 日本社会福祉学会関東部会では、社会保障・社会福祉の新たなるパラダイム構築に向けて微力ではありますが、総力をあげて取り組んできました。他方、次の次代を背負う若い研究者の育成に努めてきています。コウした念願と努力によって漸く「本論集第1号」の発刊という成果を手にすることができたと考えます。
本論集の題名は「事業体系のパラダイムと基底的文化」といたしました。本論集は2年間にわたって開催しました「シンポジウム」の結果−「基調講演およびパネラーを中心とした議論」(part1)および将来を背負う研究者の寄稿論文3点(part2)から成っています。
 2回にわたるシンポジウムのテーマは、上記の精神(心願)を基軸に設定したものです。本論集は題名に沿って体系的にまとめた論集とまでは至っていませんが、論集の発刊を重ねることによって補完できればと考えています。
 
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