|あとがき|
 本書は,高橋勇悦監修,川崎賢一・小川博司・芳賀 学編『都市青年の意識と行動−若者たちの東京・神戸 90’s・分析編』(恒星社厚生閣)の姉妹編である.東京都杉並区と神戸市で私たちの研究チームが行った調査結果を下敷きとしつつ,それから触発された議論を各執筆者が社会学的に自由に展開することで,本書は作成されている.『分析編』が調査データを計量的に扱うことを目的としており,『展開編』がサイドリーダー的な読み物を意識していたので,私たちの間では前者をハード本,後者をソフト本と呼んでいた.
 結局,ソフト本たる本書は編者と出版社の事情により,出版が 3 年ほど遅れてしまった.早期に原稿を提出していただいたにも関わらず長くお待たせしてしまった各執筆者の皆さんと,『分析編』の出版後,『展開編』を楽しみにしているという声を寄せていただいたにも関わらず,これまたお待ちいただいた読者の皆さんに深くおわびをしなければならない.時間が経過したことにともなって,各執筆者の皆さんとご相談をした論文修正の考え方については序章付記でふれてあるので,参照していただきたい.
 20 世紀末を控え,若者たちの意識と行動の変容は,むしろ社会構造の変動にともなう若者たちの位置の変化による効果かもしれないということが問われ,「青年」「若者」「子ども」概念を誰にどのように適用するかこそ問い直されなければならない状況が起こりつつある.そのように議論が転換する中,ある意味で本書があたためられていた時間の分だけ,射程の長さに耐える視野と議論を提起しえているということを期待している.
(以下省略)

1999 年 1 月
富 田 英 典
藤 村 正 之
 
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