|はじめに|

 この本の前身である『天気図の書き方と見方』が気象庁予報課の有志で出版されたのが昭和36年9月でした。

 その後好評をえて18版まで版をかさねました。好評の原因は、単に気象学の解説書ではなくて、現場の予報官の書いた実地の天気予報の本であったためでしょう。

 しかし26年の歳月をへて天気予報も大きく変わりました。数値予報の発展、気象衛星、アメダス、レーダーなど観測手段の進歩は目をみはるものがあります。日本付近の雲のようす、雨の強いところ、気温の分布、明日の予想天気図などがお茶の間で見ることが出来るようになりました。

 いっぽう、社会生活はますます複雑になり、山や海の遭難が後をたたず、また長雨や日照りが続くと野菜が、海上のシケが続けば魚が値上がりして日常生活に響くありさまです。このように私たちの生活は絶えず気象の変化に脅かされているわけです。また暑い寒いで電力、ガス、ビール、灯油などの需要に直接響いてきます。企業にとっては気象が経営上の問題として重要な鍵を握るようになってきました。

 近頃、テレビやラジオで天気予報を聞き、また自分に必要な天気の予測をする人が増えてきました。このためわかり易い天気図の見方や天気予報の仕方の本を求める声が多くなってきました。私たちは気象庁の予報官や気象協会の主任技師として長年天気予報を担当してきましたので、いままでの経験や資料を整理して、実地の天気予報について書いて見ることにしました。

 今回新しい時代の天気予報に対応できるように内容を一新して出版することになりました。なにぶん現場のため時間的な余裕も少なく、不備の点も多いと思いますが、気象の予測がますます大切になってきた現在、一般の天気予報はもちろん、災害の防止、企業の気象予測、学校の教材などに少しでもお役に立てれば幸いです。  なおこの本で特に力を入れた点は次の通りです

(1) 執筆者は気象庁の現場の予報官やその経験者、気象協会の解説予報担当の主任技師を当て、単に気象学の解説書ではなく、実地の天気予報の本としました。

(2) つとめてやさしく解説して、中学生上級から分かるようにしましたが、内容はかなり高度のことも含んでいます。

(3) 気象衛星による雲の写真は、天気予報に特に大切になってきましたので、雲写真のくわしい見方を解説しました。

(4) 天気図の作り方ばかりでなくやさしい見方や予報の仕方を解説しました。

(5) ラジオ・テレビは天気予報の大きな伝達の手段となってきましたので、天気予報のやさしい見方・聞き方・利用の仕方の章をもうけました。

 
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