宇宙の灯台

パルサー―アインシュタインシリーズ5

宇宙の灯台

パルサーの正体は?

著者 柴田 晋平
ジャンル 天文学 > アインシュタインシリーズ
シリーズ アインシュタインシリーズ
出版年月日 2006/04/15
ISBN 9784769910312
判型・ページ数 A5・184ページ
定価 本体3,300円+税
在庫 在庫あり

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1967年、その存在が明らかになったパルサー。自転によって電波ビームを一定周期で発する天体の正体は中性子星だった。これらが如何にして生まれ、放射が起こるのか、明らかにされてきた不可思議な天体のメカニズムと、その周りで起こる様々な天文現象を理解に役立つ簡単な実験の紹介とともにつまびらかにする。EINESTEINシリーズの第2冊目。


はじめに

 宇宙を見て,感じて,楽しもう.私の頭はいつもこの言葉で満たされています.研究するときの気持ちもこれですし,研究者でないお友だちと話をするときもこの気持ちで宇宙について語ります.この本も,「宇宙の灯台」と呼ばれる不思議な星について,その面白さを,見て,感じて,楽しんでいただきたい一心で書きました.

 宇宙が魅力的なのはなぜでしょう.そこには驚きがあるからでしょう.例えば,理論の産物のように思われていたブラックホールが,実際に宇宙にはたくさん見つかっています.地上の実験では決して調べることができない世界が宇宙にはあります.だから,自然科学という観点からの宇宙の魅力は最高です.また,景色の美しさも宇宙の魅力です.美しい星空は感動を与え,人の心を解き放ってくれます.私は,晴れた夜には星空を楽しむ星空ファンでもあります. 「宇宙の灯台」というニックネームをもつ不思議な星は天文学者の間ではパルサーと呼ばれています.現在では「回転駆動型パルサー」と分類されるこの星は,灯台の光の点滅のように電波を周期的に発する星として発見されました.とても面白い星なのですが,このパルサーについてまとまった書籍はこれまで発行されたことがなかったと思います.大学生や大学院生になってパルサーについて研究がしたいと思っても教科書がありません.理由は簡単で,パルサーについてわかっていることが少なすぎるからです.かなり根本的なことが不明なのです.しかし,最新の成果を踏まえ,思い切った議論を加えて,パルサーとはこんな星だよというものをこの本では描き出してみました.これも思い切った試みではありますが,理科の知識があまりなくても読めるように,やさしく噛み砕いた説明をしました.理解の役に立つ簡単な実験も紹介しています.おそらく宇宙に興味のあるどなたでも楽しんでいただけると思います.

はじめに
CHAPTER1 宇宙の灯台
1.1 宇宙の灯台
1.2 パルサーの発見前夜
1.3 シンチレーション
1.4 パルサー発見!
1.5 パルサーの正体は?

CHAPTER2 中性子星の夢
2.1 理論的預言
2.2 中性子星
2.3 超新星爆発
2.4 超新星残骸
2.5 カニ星雲
2.6 カニ星雲の中心天体
2.7 パルサーは中性子星だ!
2.8 まとめ

CHAPTER3 難攻不落の宇宙の灯台
3.1 回転する磁石―たったそれだけ―
3.2 偶然の幸い
3.3 様々なパルス波形
3.4 パルサーの名前
3.5 「X線パルサー」の発見
3.6 回転駆動型と降着駆動型

CHAPTER4 灯台からの贈り物
4.1 パルスの遅れ
4.2 星間空間の電子密度を知る
4.3 分散とより良い観測のための努力
4.4 星座の中のパルサーの分布
4.5 銀河の中のパルサーの分布

CHAPTER5 電場と磁場の競演
5.1 何もない空間に
5.2 マクスウェルの方程式

CHAPTER6 パルスの精密観測
6.1 パルス周期の測定
6.2 パルスのくるタイミングからパルサーの位置を知る
6.3 パルスの到来時刻の精密測定
6.4 パルス周期の遅れ

CHAPTER7 パルサーが放つエネルギー
7.1 磁気双極子放射
7.2 パルサーの磁場の強さを推定する
7.3 パルサーの年齢の推定
7.4 難問

CHAPTER8 個性をもつパルサー
8.1 パルサー探し(続き)
8.2 周期の分布
8.3 ミリ秒パルサー
8.4 普通のパルサーの一生
8.5 死んだパルサー
8.6 ミリ秒パルサーはどこからきた?
8.7 ミリ秒パルサーも立派な「宇宙の灯台」

CHAPTER9 宇宙の巨大発電所(失敗)
9.1 ネオジム磁石
9.2 単極誘導発電機
9.3 豆電球を光らせるエネルギー
9.4 宇宙発電所実用化実験
9.5 宇宙発電所実験失敗

CHAPTER10 宇宙の巨大発電所(成功)
10.1 放射の反作用
10.2 宇宙発電所の巧妙さ

CHAPTER11 ガンマ線のパルス
11.1 暗黒の時代からの脱却
11.2 ガンマ線で見た空
11.3 UGO ― 未確認ガンマ線天体 ―
11.4 ガンマ線パルサー

CHAPTER12 パルサーからのスペクトルと年収
12.1 世の中のお金はどのように分配されているか
12.2 熱的分布と非熱的分布
12.3 熱的放射と非熱的放射
12.4 X線・ガンマ線の世界

CHAPTER13 どうしてビームになるの?
13.1 どうしてビーム
13.2 夢の放射光実験装置
13.3 ビームを作る3つのポイント
13.4 パルサーからのビーム放射の機構

CHAPTER14 電場加速の仕組み
14.1 難問
14.2 分極する磁気圏
14.3 真空だったら
14.4 真空ギャップ
14.5 ちっちゃな磁気圏?
14.6 極冠加速電場

CHAPTER15 電子陽電子対
15.1 エネルギーは質量に等価
15.2 電子・陽電子対生成
15.3 パルサー風からの示唆
15.4 磁場に沿った電場加速

CHAPTER16 パルサーから吹いてくる風
16.1 宇宙電磁投石器
16.2 相対論的な遠心力風
16.3 遠心力風のエネルギー
16.4 電磁投石器か?それとも電磁砲か?―パルサー風の謎― 137 16.5 まとめ:パルサー風

CHAPTER17 パルサー磁気圏のモデル
17.1 何風で攻めますか?
17.2 全体を見渡す
17.3 パルサー風と電流系
17.4 極冠と有効電圧
17.5 磁気圏のグローバルな構造
17.6 死線の説明
17.7 ガンマ線パルスの明るさの説明
17.8 残された問題

CHAPTER18 パルサー星雲
18.1 パルサー星雲
18.2 衝撃波
18.3 パルサー星雲:だいたいの様子
18.4 カニ星雲のエネルギー収支
18.5 カニ星雲を観測装置とみなして利用する
18.6 パルサー雲検出器の性能
18.7 カニ星雲からのX線の形は点から始まった
18.8 カニ星雲のX線で見たときの本当の形
18.9 パルサー星雲はリングとジェット
18.10 解決を待つパルサー風とパルサー星雲の謎

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