歴史を揺るがした星々

天文歴史の世界―アインシュタインシリーズ12

歴史を揺るがした星々

歴史学と天文学の融合した新たな歴史観

著者 作花 一志
福江 純
ジャンル 天文学 > アインシュタインシリーズ
シリーズ アインシュタインシリーズ
出版年月日 2006/06/05
ISBN 9784769910411
判型・ページ数 A5・232ページ
定価 本体3,300円+税
在庫 在庫あり

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太古より星々が人類に及ぼした影響は計り知れない。第1編では,卑弥呼と日食,彗星・火星人パニック,天体衝突など,紀元前から20世紀までの歴史に残る天文現象8つを紹介。第2編では日本各地に残る天文史跡実地調査を紹介。天文学と歴史学の融合で新たな歴史観が生まれる。


はじめに

 人類は100年前まで,地球から飛び出す術を知らず,月へ行くことは夢でしかなかった.宇宙の年齢はせいぜい数千万年と思われていたし,宇宙創世は神の領域であった.宇宙の謎を解明するため,光以外の波長による観測,探査機による直接調査などの方法が可能になったのはわずか半世紀前からである.しかし人類は太古から星々とつきあっている.我々の先祖はいつごろからか太陽や星々の動きから,時の流れ・季節の移り変わりを知り,暦を作って農耕生活を始め,また未知の海原や砂漠へ旅するようになった.今日,我々が文明社会を創り出し科学技術を享受できるのは,星々が規則正しい調和のとれた運動を教えてくれたおかげである.恵みの母である太陽が消えていく日食,長い尾を引きながら天空を駆けていく彗星,ある日突然昼間でも輝く客星,天から降ってくる隕石,離散集合を繰り返す惑星たち,……星空を眺めた古人はこれらを記録に留め,記念碑を造り,吉凶を占った.
 これらの天象のあるものは天からの祝福であり,またあるものは警告・命令であると信じられ,歴史を揺るがしたものも少なくない.星々の位置は日時と場所を指定すれば計算できるので,これらの天象をPCの中で再現し,逆にその日時を特定することもできる.実際,日食・惑星集合・彗星の記録は歴史上の事件の解明に貢献している.また現代天文学へ重要な情報をもたらした貴重な記録も少なくない.20世紀後半に急速な進展を遂げた高エネルギー天文学に寄与したのは1054年の客星出現の記録であった.そのおかげで我々は恒星の終末期の爆発,広い波長域にわたる放射,重元素の生成などのメカニズムについての知識を得てさらに新しい分野を開拓することができたのである.
 広い宇宙の中には,地球のように生命に溢れる星があるかもしれない,いやあってほしいというのは昔からの期待であり願望であった.中肉中背中年の平凡な星である太陽の第3惑星だけに生命が発生し,我々だけが唯一の高等生命と考える方が不自然であろう.地球から飛び出し他の星を訪れて,そこに生命を見出す試みは月へ火星へ木星へ,そして今や土星まで進んでいる.これもまた世界を揺るがした天文事件として特記される.
 本書では第一篇で紀元前から20世紀までの歴史に残る天文現象を8つほど選んで,その解説を試みた.天文学と歴史学とは現在ではまったく異なった分野に属しているが,古代では分離できない事柄であり,天文が社会と深く関わり合ったことが理解できるだろう.また第二篇では北海道から沖縄まで日本各地に残る天文史跡を実地調査した結果を記した.我が国には明治より前からの天文記録が以外に多いことが理解されよう.星々の誕生・終末の姿が描かれている今日でも,まだ多数の天文記録が眠っている.これらを解明することによって,宇宙に謎を解くキーが見出せるものと,また新たな歴史観が生まれるものと期待される.
 本書が天文学の研究者・教育者・愛好家だけでなく,これまで天文に関心がなかった方々にも新しい導入口として理解されて,読んでいただけることを願望する.(以下省略)

はじめに
第1篇 人類を揺るがした天文現象
CHAPTER1 6000年間の惑星集合
1.1 はじめに
1.2 五星聚井
1.3 周将殷伐
1.4 歳在鶉火
1.5 夏禹商湯
1.6 おわりに
●COLUMN1● 夏商周王朝系譜

CHAPTER2 卑弥呼の日食
2.1 皆既日食の情景
2.2 歴史書に見る日食
2.3 神話の中の皆既日食
2.4 卑弥呼の日食
2.5 日食神話の起源
2.6 日食の予報
2.7 卑弥呼の日食はなかった?!

CHAPTER3 陰陽道が怖れた星々
3.1 日本で成立した陰陽道
3.2 花山天皇の退位事件
3.3 『大鏡』の世界
3.4 安倍晴明伝説
3.5 安倍晴明の実像
3.6 ハレー彗星出現

CHAPTER4 客星あらわる
4.1 天界を乱すもの
4.2 当時の世界
4.3 残された記録
4.4 超新星SN1054
4.5 かに星雲の最新像
●COLUMN2● 冷泉家展

CHAPTER5 不吉な放浪者
5.1 はじめに
5.2 歴史の中のハレー彗星
5.3 古代中国の記録
5.4 我が国の記録
5.5 西欧の記録
5.6 彗星の天文学
●COLUMN3● 「ノルマン征服」のころ

CHAPTER6 1908年,天空からの衝撃
―ツングースカの大爆発からスペースガードへ―
6.1 小惑星2002 MNのニアミス
6.2 ツングースカの大爆発
6.3 最近の天体の衝突とニアミス
6.4 地球のまわりの小天体
6.5 動き出したスペースガード
●COLUMN4● 「おおかみが来た?!」

CHAPTER7 火星人からSETIへ
7.1 突然の恐怖
7.2 ローウェルの運河
7.3 火星とは
7.4 火星に着陸
7.5 宇宙人探査と通信
7.6 SETIの時代
7.7 再び火星へ
7.8 バイキングの後を継ぐもの
7.9 次は生命!

CHAPTER8 人類,月に立つ
8.1 月に向けられた人類のまなざし
8.2 ガリレオの観測
8.3 ケプラーの夢
8.4 二十世紀のロケット野郎
8.5 月に人類が降り立った日
8.6 アポロの以前と以後
●COLUMN5● 人類最初の月での言葉

第2篇 日本の天文史跡めぐり
CHAPTER9 北海道地方
9.1 北海道の日食観測記念碑
9.2 ノチウ(星)という岩
9.3 クラーク博士像
9.4 旧日本郵船株式会社小樽支店
9.5 開拓使三角測量勇払基点

CHAPTER10 東北地方
10. 1 青森県・故一戸博士之碑
10. 2 青森県・弘前藩校「稽古館」
10. 3 岩手県・海図第一号記念碑
10. 4 岩手県・測量之碑と星座石
10. 5 岩手県・気仙隕石落下地
10. 6 岩手県・木村記念館
10. 7 宮城県・鹽竈神社の日時計
10. 8 秋田県・秋田市千秋の天測点
10. 9 山形県・満月の碑
10.10 福島県・北辰の碑
10.11 福島県・会津藩校「日新館」天文台跡

CHAPTER11 関東地方
11. 1 茨城県・長久保赤水誕生地と旧宅
11. 2 茨城県・水戸藩校「弘道館」天文台跡
11. 3 栃木県・那須基線
11. 4 千葉県・伊能忠敬出生地と旧宅
11. 5 神奈川県・金星太陽面通過の観測記念碑と観測台
11. 6 神奈川県・デイビス天測点

CHAPTER12 東京地方
12. 1 江戸幕府の天文台跡
12. 2 伊能忠敬の観測所
12. 3 渋川春海の記念碑
12. 4 高橋景保顕彰碑
12. 5 明治時代初期の天文台
12. 6 日本経緯度原点
12. 7 ローエル居住地跡
12. 8 東京海洋大学の旧天体観測所
12. 9 水路部測量科天測室跡
12.10 国立天文台
12.11 日食供養塔

CHAPTER13 中部地方
13. 1 新潟県・三条市の皆既日食観測記念碑
13. 2 新潟県・出雲崎の天測点
13. 3 富山県・石黒信由顕彰碑
13. 4 富山県・西村太冲顕彰碑
13. 5 石川県・木村栄生誕地
13. 6 石川県・ローエル顕彰碑
13. 7 石川県・根上隕石落下地
13. 8 山梨県・星石
13. 9 三重県・刻限日影石
13.10 三重県・日時計石

CHAPTER14 近畿地方
14. 1 滋賀県・国友一貫斎屋敷
14. 2 京都府・梅小路天文台跡
14. 3 京都府・三条改暦所跡
14. 4 大阪府・麻田剛立顕彰碑
14. 5 大阪府・間重富の天文観測地
14. 6 兵庫県・金星過日測検之処碑
14. 7 兵庫県・最初の標準時子午線標識
14. 8 兵庫県・明石高校の天測台とトンボ標識
14. 9 奈良県・益田岩船
14.10 奈良県・高松塚古墳の星宿図
14.11 奈良県・キトラ古墳の天井天文図
14.12 奈良県・中大兄皇子の漏刻台跡
14.13 奈良県・天武天皇の飛鳥占星台
14.14 和歌山県・畑中武夫博士の記念碑

CHAPTER15 中国地方
15. 1 鳥取県・天神野基線
15. 2 島根県・美保関隕石落下地
15. 3 岡山県・本田實の記念碑
15. 4 岡山県・財団法人倉敷天文台
15. 5 岡山県・源平合戦水島古戦場の碑
15. 6 山口県・玖珂隕石発見地

CHAPTER16 四国地方
16. 1 香川県・国分寺隕石落下記念像
16. 2 香川県・久米通賢翁銅像
16. 3 愛媛県・八幡浜の天測記念碑
16. 4 高知県・在所隕石落下地
16. 5 高知県・谷秦山邸趾
16. 6 高知県・高知城の正午計
16. 7 高知県・片岡直次郎の観測所跡

CHAPTER17 九州・沖縄地方
17. 1 福岡県・直方隕石之碑
17. 2 福岡県・大宰府の漏刻台跡
17. 3 福岡県・からくり儀右衛門の生誕地
17. 4 長崎県・金星太陽面通過の観測記念碑と観測台
17. 5 長崎県・伊能忠敬の天測地
17. 6 大分県・三浦梅園旧宅
17. 7 鹿児島県・天文館跡
17. 8 沖縄県・久米島の太陽石
17. 9 沖縄県・八重山の星見石
17.10 沖縄県・小浜島の「節さだめ石」
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