活きている銀河たち

銀河天文学入門―アインシュタインシリーズ9

活きている銀河たち

星の集合体として見た銀河について解説

著者 富田 晃彦
ジャンル 天文学 > 天文物理学・宇宙物理学
シリーズ アインシュタインシリーズ
出版年月日 2010/07/30
ISBN 9784769912279
判型・ページ数 A5・184ページ
定価 本体3,300円+税
在庫 在庫あり

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星の集合体としてみた銀河を中心に、銀河の誕生、構造、そこでの星形成の歴史、進化まで、天文学の見方・考え方から詳述する。著者が長年教鞭をとっている中で、思考錯誤のすえ授業で用いるようになった、手書きの概念図を多く掲載し丁寧に解説する。銀河のすべてがこの1冊に凝縮。


はじめに

 銀河の研究において第一の目標は,銀河の生い立ちとその歩みの理由を知ることである.我々は時間を自由に行き来することはできないので,銀河の中に埋め込まれた記憶を探らないといけない.そのためにはまず,銀河の性質をよく知ることから始めないといけない.また光速の有限性から,遠方の銀河は,その銀河の過去の姿として見えていることになる.この姿を見るために,高性能の望遠鏡とカメラが必要になる.さらに,銀河の世界は多種多様である.全体像を知り,同時に個性も知るためには多くの銀河を調べ回らないといけない.星の数,いや,銀河の数ほどある銀河に対し,1つずつ丁寧に性質を調べていくことを積み上げるしかない.銀河に限らず,天体の性質を研究する際,写真の分析が主要な方法となっている.分析の基礎となる物理的理論,予想や検証のための計算もここに含まれる.というより,物理的理論や計算を基盤として,観測に臨んでいる.写真からどうやって銀河の諸性質を引き出すか.この考え方が,天文学の方法の核心部分である.
 本書では,星の集合体として見た銀河について解説している.銀河は,星,ガス,銀河中心核,ダーク・マターの集合体である.銀河を論じる上で,この4
者のどの観点からでも切りこめる.下図は,この4
者の互いの関係を記したものである.宇宙全体で見れば,ダーク・エネルギーというものもある.星に重点を置いたのは,この4
者のうち,星が我々に最もよく「見える」ものであり,また銀河には多数の星がつまっているため,銀河天文学の入門として,まずこの役者の理解が必要だからである.ガスと星は互いに相の違いであるともいえるので,本書ではある程度,ガスも扱う.銀河中心核は大切な天体で,超巨大ブラックホールと降着円盤の系から成るモンスターである.また,ダークという名がつくと,マターだろうがエネルギーだろうが,宇宙論の議論と密接につながる.しかしこれらは,語るべきことがたくさんあるため,詳細紹介は別の書に譲ろう.
 本書の具体的な読者として,筆者の仕事の経験から,教育学部の学部生・大学院生を意識した.知識の詰め合わせというより天文学の方法に重点を置き,宇宙の話を人に伝えようとする人にじっくりお伝えしたい,と考えた.数式はあまり出てこないが,数式が少ないと易しいから,ということで減らしたのではない.筆者なりに学生にじっくり話し込むとすれば,結果的に数式の数がこの程度になった,ということである.数式は自然界を記述するのに,大変優れた言語である.日常あまりつかわないと外国語のままであるが,こんな便利な言語をものにしない手はない.たまたま本書には数式が少ないが,宇宙をもっと理解していくために,数式という人類共通の言語を習得することを強くお勧めする.

はじめに
CHAPTER1 銀河系と銀河はどこにあるか?
1.1 銀河系の発見
1.2 銀河の発見
● COLUMN1 ● 天文台の共同利用

CHAPTER2 あらためて,銀河系について
2.1 銀河系の姿
2.2 星団
2.3 星団の年齢
2.4 星の種族
2.5 銀河系地図の作成
● COLUMN2 ● 天文台で雨になったら…

CHAPTER3 銀河をひとつひとつ見ていくと…
3.1 銀河の形態の分類
3.2 超巨大銀河と矮小銀河
3.3 銀河の動径方向の表面輝度分布
3.4 渦巻銀河の渦状腕
3.5 銀河の衝突・合体
3.6 銀河円盤の回転と質量
● COLUMN3 ● 雷

CHAPTER4 銀河を統計的に見ると…
4.1 ハッブル系列に沿った色の変化
4.2 ハッブル系列に沿ったHα輝線強度の変化
4.3 ハッブル系列に沿った質量や光度の変化
4.4 銀河の光度関数
4.5 形態─密度関係
4.6 タリー・フィッシャー,フェイバー・ジャクソン関係
● COLUMN4 ● 幻聴,幻覚

CHAPTER5 銀河の空間分布
5.1 銀河までの距離の測定
5.2 ハッブルの法則
5.3 局所銀河群
5.4 銀河団
5.5 局部超銀河団
5.6 宇宙の大規模構造
5.7 銀河団ガス
● COLUMN5 ● どこでもドア

CHAPTER6 銀河での星形成
6.1 星形成の観測
6.2 スターバースト現象
6.3 中心核スターバースト
● COLUMN6 ● 若手を奮い立たせた手紙

CHAPTER7 銀河の形成と進化
7.1 銀河の形成
7.2 統計的に見た銀河の進化
7.3 注目の天体たち
● COLUMN7 ● 研究発表での大間違い

主な銀河リスト
参考文献
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