星の神話伝説集成

星の神話伝説集成

星々の呼称と伝説をまとめた神話伝説の定本

著者 野尻 抱影
ジャンル 天文学 > 天文学史・星座
出版年月日 1988/09/15
ISBN 9784769905943
判型・ページ数 B6・304ページ
定価 本体1,800円+税
在庫 品切れ・重版未定

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著者は「天文学の本を星の知識に入る正面玄関とすれば,星の神話伝説は,天文学へ進ませるプロムナードであると信じる。」と記している。本書は,現在もなお庶民の間に伝わる星々の呼称と伝説などを,日本篇および海外篇に分けて,あまねく収載した,神話伝説の定本。


はじめに

 ここに私は、日本及び海外の星の神話伝説を力めて集積してみた。中で日本のそれは、私の探り得たかぎりでは、海外と比べて著しく乏しいことを否定し難い。と言っても私は、日本人は星に無関心だったとする従来の定説に服する者ではない。私たちが農村漁村から発見した星の和名は数百にも上っているからである。
 神話については、私は、文化の一段階として、日本上代に於ても自然神話、従って星辰神話も必ず発生していたと信ずる。さもなければ、日本のみに例外を設けることになるだろう。記紀に見いだされる自然神話は、それらの中のわずかの残欠で、かつ原話にはもっと内容があったろうことは、天照大神や月読命や天津甕星の神話などからも考えられる。また、風神級長戸辺神や、火神迦具土から生まれた雷神雨神があり延喜式の祝詞の中に、雨や風に関する言葉があるのを見ても、天文気象に対する呪術や祭事があったことが察せられる。
 では、何故こうなったろうか。それは、学者の一部で言われているように、記紀が皇室及び国家を中心とする建国神話を樹立するに急で、当然存在していたはずの自然神話をいわば夾雑物として葬り去り、忘却するに委せた結果であると思われる。
 次ぎに数百に上る星の和名は、一部を除くと、主として後代、近代に生まれたもので、かつ農民漁民の生活を反映して、農具・漁具、または民具に見立てた単純素朴な名が多い。これは日本独特のものとして誇るに足るが、それだけに人物や動物に見立てた海外の星のように、伝説化する余地は少なかった。中国伝来の七夕伝説の農村化や、北海道アイヌのいかにも異種民族らしい神話伝説の他は、伝説の名に由来するものが乏しく、多く断片的な口碑や説話に留まっているのは、右の理由に帰せられると私は考えている。
 こうして伝説にも、神話についての遺憾を繰り返すのだが、ともかく、ここに多年の蒐集から代表的な星の和名を抜き、それに因む民間伝承を力めて挙げておいた。なお、他日「日本星名集成」を恒星社から公けにする用意がある。
 海外の星の神話伝説については、私はこれまでギリシャ、ローマの星座神話を著わし、他に類書も行われている。これは、バビロニヤの星の神話がギリシャ神話に結びつけられ、さらに天文詩人が多くの創作を加えて、星空をけんらんな神話画廊と化したものである。従ってここにも勢いそれが中心となっているが、しかし、併せてバビロニヤ、エジプト、チュートン民族、中国、インド、南洋、ポリネシヤ、及び北米、中米土人の神話伝説をも、身辺の資料の許すかぎり集めてみた。この海外篇は一冊として公けにしたことがあるが、ここには改刪を施した上に、新たな神話伝説をも加えてある。
 日本篇は和名を海外名と対照させ、順序もほぼ四季に応じてある。海外篇は四季の星座を見ごろの順序に配し、簡単な解説から神話伝説に進み、終りに「惑星の神話伝説」と「星座の歴史」を添えた。なお「四季の星図」には代表的な和名をも添えてある。
 私は研究社版『星座神話』のはしがきに、「天文学の本を星の知識人に入る正面玄関とすれば、星の神話伝説は、初め読者をみだれ咲く花園へ導き、そこから天文学へ進ませるプロムナードであると信ずる」と書いているが、さらに、本書に集成した神話伝説は、同じ星、同じ星の群れを、異種の諸民族がいかに見、いかに感じてきたかを示して、民俗学にもサイドライトを投げるものと信ずる。そしてこの意味では私は、巻頭においた日本篇にいささか満足を感じている。

はしがき
1 星の神話伝説―日本篇―
2 星の神話伝説―海外篇―
春の星座/夏の星座/秋の星座/冬の星座
3 惑星の神話伝説
4 星座とその歴史
星座画図

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