アルマゲスト

アルマゲスト

ギリシア天文学―世界最古の天文書

著者 K.プトレマイオス
藪内 清
ジャンル 天文学 > 天文学史・星座
出版年月日 1993/07/25
ISBN 9784769907541
判型・ページ数 A5・630ページ
定価 本体15,000円+税
在庫 在庫あり

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ヒッパルコスを始めとして,ギリシア天文学の成果を集大成した世界最古の天文書。中世天文学の基礎となり,近世への出発点の源泉ともなった。天動説の説明の第 1 巻より,球面星学,太陽の運動,月の運動,日月食の計算,トレミーの星表,惑星の周転円などの 13 巻の全訳。


復刻版への序文

 プトレマイオス,コペルニクス及びニュートンの著書は天文学の三大古典と呼ばれるが,時代的にもっとも古いものがプトレマイオスのアルマゲストである.恒星社故土居客郎氏にすすめられてその翻訳を思いたったのは,すでに30年以上も前のことである.私がこの翻訳を志したのは,西洋天文学の源流をたしかめる意図よりもむしろ,明,清の間に中国へ伝わった天文学書を理解するためであった.アルマゲストは天動説を説いたものであるが,その運動理論はヨーロッパ中世に生きつづけ,17世紀の中国に伝えられたヨーロッパ天文学は,いわばその内容を少しく修正したものであった.それは現代の天体運動論とはちがっており,アルマゲストの理解を必要としたのである.翻訳にあたっての底本としたのは,京都大学人文科学研究所に所蔵されたHalmano仏訳本であり,それにManitiusの独訳本を参照した.こうした古典の訳出にはギリシア原典に依拠すべきであるが,ギリシア語に無知な私には到底できなかった.全く不十分なものを読者に提供する結果になった.ところがこのたび出版社から再版の要請があった.当然本格的な訳を準備すべきであるが,それは私にとって不可能ある.絶版になって相当の年数が経過しており,しかも天文学史に関心のある読者の要望が高いと聞いて,再び目をつむって旧版に少しく手を入れ,上,下二冊本を一冊にして出版することにした.Manitiusの独訳本は,1963年にO.Neugebauerによっていくらかの修正を加えて再版されており,新たにこの書物を参照した.初版のミスプリントや仏訳本の誤りなどの訂正は,京都産業大学の矢野道雄君に依るものである.同君はアメリカ留学をひかえて忙しい最中に,訂正に貴重な時間を割いて下さった.心より感謝する.なお第七・八巻を占める有名な恒星表については,位置を表示する度数には訂正を加えたが,現在名は旧版のままにしておいた.この点はなお検討すべき点が残っているためである.

 かつて出版されたアルマゲストの英訳本は,あまり信頼がおけないので,その新訳がアメリカで現在進められていると聞いている.日本でもすぐれた訳書が若い研究者の手によって出版されることを望んでいる.それまでのつなぎとして,この再版が役立ってくれることを願っている. (以下省略)

第一巻
第一章 定理の順序
第二章 天空は回転する
第三章 地球は明らかに全体として球形である
第四章 地球は天空の中心にある
第五章 地球は天空に対して点の如きものである
第六章 地球は何等の位置変化もしない
第七章 天空には異なる二つの基本的運動がある
第八章 特殊な知識
第九章 円内に引かれた直線の値
第十章 回帰線の間に挟まれる弧
第十一章 球面に関する証明への準備
第十二章 黄道と赤道との間にはさまれる弧
第十三章 直立球に於ける上昇

第二巻
第一章 一般に地球上で人の住む地域の状態
第二章 最も長い昼の時間が与えられたとき,赤道と黄道との間にある地平線の弧は如何にして求められるか
第三章 同じ仮定の下で如何にして極の高度を見出すか,またその逆の問題
第四章 何時そして幾度,どの地点で太陽が天頂にくるかを如何に計算すべきか
第五章 すでに述べたことから,ノーモンとその二分二至の正午に於ける影との比を如何にして見出すか
第六章 個々の平行圏に特有な事柄の説明
第七章 徐行球に於て赤道と黄道との対応する上昇
第八章 10度毎の上昇表
第九章 上昇にもとづく特別な結果
第十章 黄道と子午線とのなす角
第十一章 黄道と地平線とで作られる角
第十二章 黄道上で作られる,地平線の両極を通る円との角と弧

第三巻
第一章
第二章 一年の長さ
第三章 平均な円運動を説明する仮説
第四章 太陽の見掛けのアノマリ
第五章 太陽運動の個々の弧についてのアノマリの研究
第六章 太陽の平均運動の元期
第七章 太陽運動の計算
第八章 昼夜の不等

第四巻
第一章 月の理論を如何なる観測の上に組織しなければならぬか
第二章 月の周期
第三章 月の平均運動の詳細について
第四章 月の諸現象は離心円或は周転円の簡単な仮説に於て同一である
第五章 月の第一の簡単なアノマリの証明
第六章 月の経度とアノマリとの平均運動に対する修正
第七章 経度及びアノマリに於ける月の平均運動の元期
第八章 月の緯度の於ける平均運動の修正とその元期
第九章 月の第一にして簡単なアノマリの表
第十章 ヒッパルコスの得た月のアノマリの数値が我々と異なるのは,仮説の相違からくるのではなく,計算のそのものによる

第五巻
第一章 ストロラーブの構造
第二章 月の二重のアノマリに対する仮説
第三章 太陽に関しての位置にもとずく月のアノマリの量
第四章 月の軌道の離心率の割合
第五章 月の周転円の方位
第六章 図を用い如何にして月の周期運動から真運動を得るか
第七章 月の全体のアノマリ表の作製
第八章 月の全体のアノマリ表
第九章 月の運動の一般計算
第十章 月の離心率は朔望に於て何ら著しい差を生じない
第十一章 月の視差
第十二章 視差を観測する器械の構造
第十三章 月の距離についての証明
第十四章 朔望における太陽,月及び影の視直径の大きさ
第十五章 太陽の距離とそれから証明される結果
第十六章 太陽,月および地球の大きさ
第十七章 太陽,月の視差についての詳細
第十八章 視差表
第十九章 視差の決定

第六巻
第一章 朔と望
第二章 平均朔望表の作製
第三章 朔望表
第四章 周期的な朔望と真朔望とを見出すため前表を使用すること
第五章 日月食の限界
第六章 食が起り得る間隔
第七章 食表の作製
第八章 日月食表
第九章 月食の計算
第十章 日食の計算
第十一章 食の方位
第十二章 方位の決定

第七巻
第一章 恒星は常に同一の相対位置を保っている
第二章 恒星の天球は十二宮の方向にある運動をする
第三章 恒星球の回転は黄道星座の方向に黄道極まわりに行われる
第四章 恒星を記述する方法
第五章 北半球の星座を形成する星々の表

第八巻
第一章 南半球の星座を形成する星々の表
第二章 銀河の状態
第三章 天球儀の構造
第四章 恒星の特別な配置
第五章 太陽と同時的な恒星の出没と南中
第六章 恒星の見状

第九巻
第一章 太陽,月及び五惑星の天球の順序
第二章 惑星に関する仮説の基礎
第三章 五惑星の周期
第四章 五惑星の経度及びアノマリの平均運動表
第五章 五惑星の仮説に対する予備知識
第六章 仮説の様式と相違
第七章 水星の遠地点とその移動の証明
第八章 各々回転に於て水星は二度近地点にくる
第九章 水星のアノマリの割合と大きさ
第十章 水星の周期運動
第十一章 水星の周期運動の位置

第十巻
第一章 金星の遠地点の証明
第二章 金星の周転円の大きさ
第三章 金星の離心率の割合
第四章 金星の周期運動の訂正
第五章 金星の周期運動の元期
第六章 他の惑星に関する証明の準備
第七章 火星の離心率と遠地点との証明
第八章 火星の周転円の大きさの決定
第九章 火星の周期運動の訂正
第十章 火星の周期運動の元期

第十一巻
第一章 木星の離心率と遠地点の決定
第二章 木星の周転円の大きさの決定
第三章 木星の周期運動の訂正
第四章 木星の周期運動の元期
第五章 土星の離心率と遠地点の決定
第六章 土星の周転円の大きさの決定
第七章 土星の周期運動の訂正
第八章 土星の周期運動の元期
第九章 周期運動より図を用いて如何に真位置を決定するか
第十章 アノマリ表の作製
第十一章 五惑星のアノマリ表
第十二章 五惑星の経度計算

第十二巻
第一章 逆行運動のための準備
第二章 土星の逆行運動の証明
第三章 木星の逆行運動の証明
第四章 火星の逆行運動の証明
第五章 金星の逆行運動の証明
第六章 水星の逆行運動の証明
第七章 留に対する表の作製
第八章 留の表
第九章 太陽に関する金星及び水星の最大離角の証明

第十三巻
第一章 経度に於ける五惑星の隔りについての仮説
第二章 我々の仮説による傾斜角と斜交角の運動状態
第三章 個々の傾斜角と斜交角との大きさ
第四章 各惑星の緯度に対する表の作製
第五章 経度表
第六章 五惑星の緯度に於ける隔りを計算するための表の使用
第七章 五惑星の見状
第八章 金星と水星の見状が仮説と一致すること
第九章 すべての場合に見状時に於ける太陽への離角を決定する方法

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