水産資源解析の基礎

水産資源解析の基礎

実用的に最新手法を纏めた資源解析の参考書

著者 赤嶺 達郎
ジャンル 水産学 > 資源・漁業
出版年月日 2007/01/20
ISBN 9784769910527
判型・ページ数 B5・124ページ
定価 本体2,500円+税
在庫 品切れ・重版未定

この本に関するお問い合わせ・感想

世界的に水産物に対する嗜好は増え、資源評価・漁業管理は重要なポイントになります。そこで,水産資源解析の基礎をしっかりとかつ平易に学べる書を発行致しました。本書は、水産総合研究センターでのテキストとして作成され、種々の事例に対応できる基本的な考え方を中心に簡潔に記述し、図・応用例を多く掲載し理解しやすいよう構成されています。例題を通じて実用的な応用力を養うことができます。大学・専門学校・研究所などのテキストとして最適です。


はじめに

 水産資源学は実際の資源評価や漁業管理に用いられる実学であり,かつては大学の水産学科において必須の課目であった.しかし最近は選択課目となってしまい,水産資源学を学ばないまま試験研究機関に就職してしまうような状況が多くなってきた.そのため水産総合研究センターでは資源評価担当者を対象とした資源管理研修会を随時開催するとともに,最新の手法をとりいれた実用的なテキストを作成することになった.その結果,田中昌一先生を編集委員長として,日本水産資源保護協会から以下の3冊を刊行した.


(a) 資源解析手法教科書.平成12年度資源評価体制確立推進事業報告書,325pp(2001).

(b) 事例集.平成11年度資源評価体制確立推進事業報告書,228pp(2002).

(c) 補遺集.平成13年度資源評価体制確立推進事業報告書,168pp(2002).


 この3冊は実際に水産の現場で資源評価を行っている研究者が執筆したため,実用的である反面,記述や理論面の統一性に欠ける面があった.一方,小型計算機を対象としたプログラム集も既に以下の3冊が刊行されている.


(d) 漁業資源解析のための電子計算機プログラム集.200カイリ水域内漁業資源調査,水産庁,291pp(1978).

(e) パソコンによる資源解析プログラム集.東海区水産研究所数理統計部,356pp(1988).

(f) パソコンによる資源解析プログラム集Ⅱ.中央水産研究所生物生態部数理生態研究室,279pp(1990).


 これらは発行から10年以上も経過しており,主としてFORTRANやBASICで書かれているため,現在のパソコンには適用困難なものが多い.

 したがってこれらのテキストやプログラム集を踏まえて,最新の手法を効率よく解説し,手軽に適用できる教科書が望まれている.しかしながら現在の計算機環境の変化は著しいため,すぐに時代遅れになってしまう可能性が高い.そこで本書では基本的な考え方だけを示し,基礎学力を身につけることによって,そのような時代変化に対応できる応用力を養うことを目的とした.記述はできるだけ簡潔に,図や応用例を多く掲載するように心がけた.また連携大学院である東京海洋大学大学院で行った資源変動学および資源評価学の講義内容も踏まえている.一部分,数学的に難しい部分も含まれているため,最初はそのような部分を読み飛ばしてもよいが,応用例などを参考にして,最終的に概略を理解することが望ましい.  第1~3章はデータ解析に関するもので,体長組成を年齢組成に分解する方法,成長曲線の当てはめ方法,枠どり法や標識再捕法によって個体数を推定する方法について統計学的に詳しく解説した.後半の第4~6章は代表的な水産資源解析方法に関するもので,余剰生産モデル,成長生残モデル,合意形成について概略を解説した.
 通常の教科書で詳述されている部分は簡潔に記し,それ以外の重要と思われる基本的事項について詳しく論じた.統計学に関する部分が多くなったが,それは水産資源学では主として定量的な問題を扱うためである.したがって数式が多く出てくるが,数式は機械的に処理できる便利な道具とみなして,習うよりも慣れることが大切である.本書に出てくる数式は高級なものではなく,大学1年生程度の初歩的なものなので,基本的には1次式:z=ax+byが正しく理解できていればよい.水産では偏微分係数∂z /∂xが出てくると拒否反応を起こす人が多いが,これは係数aと同じものである.上式はベクトル(a, b)と(x, y)の内積とみなせるので,(x, y)がどのような値をとっても(a, b)=0ならばz=0となる.これが極値条件である.このような内容が感覚的に理解できればよい.統計学的立場としては点推定には最尤法を,区間推定には尤度比検定を採用し,場合によって適合度検定や赤池の情報量規準AICも用いた.第3章では古典的なベイズ統計学も比較のために検討している.
 本書は数学書ではないので,厳密性よりも内容の理解を優先した.厳密な議論については専門書および引用文献を参照されたい.なお計算および作図には水産現場にも普及している表計算ソフトの最適化法や作図機能を使用した.

第1章 体長組成の解析 1・1 統計モデルの構築 1・2 ハッセルブラッド法 1・3 体長組成解析の一般論 1・4 ハッセルブラッド法の導出 1・5 反復法 1・6 ラグランジュの未定乗数法 1・7 テイラー展開と中心差分 1・8 EMアルゴリズム 1・9 KL情報量 1・10 ハッセルブラッド法の収束の証明 1・11 尤度比検定とAIC 第2章 成長曲線の当てはめ 2・1 アロメトリー式(相対成長) 2・2 回帰直線の最尤推定 2・3 回帰直線の傾きの検定2・4 ベルタランフィーの成長式 2・5 成長曲線の当てはめ 2・6 ロジスティック式とゴンペルツの成長式 2・7 リチャーズの成長式 2・8 周期関数を用いた拡張 2・9 大西の成長式と粟屋の方法 2・10 再生産曲線 2・11 指数関数の定義式とオイラーの公式 第3章 個体数推定 3・1 生物の分布様式 3・2 2項分布 3・3 枠どり法 3・4 ピーターセン法 3・5 デルーリー法 3・6 超幾何分布の総和公式の証明 3・7 誤差伝播則と2変量正規分布 3・8 多項分布の多変量正規分布近似 第4章 余剰生産モデル 4・1 基本モデル 4・2 漁獲量一定モデル 4・3 最適制御モデル 4・4 ゲーム理論 4・5 力学系モデル 第5章 成長生残モデル 5・1 生残率の推定 5・2 ポウリックの方法 5・3 VPA 5・4 レスリー行列 5・5 等漁獲量曲線図 5・6 マッケンドリック方程式 5・7 最適制御モデル 第6章 合意形成 6・1 漁業者間の合意形成 6・2 公的機関と漁業者との合意形成 例題の目次 1.1 体長組成の年齢分解 1.2 体長組成の制限つき年齢分解 2.1 体長-体重関係の推定 2.2 成長曲線の当てはめ 2.3 拡張した成長曲線の当てはめ 3.1 枠どり法の区間推定 3.2 モンテカルロ法による円周率の推定 3.3 ピーターセン法の区間推定 3.4 デルーリー法の区間推定 5.1 生残率の区間推定 5.2 漁獲率を用いたVPA 5.3 等漁獲量曲線図とSPRの等高線図

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