魚類生態学の基礎

魚類生態学の基礎

魚の生態を一望,ウナギ博士が纏めた教科書

著者 塚本 勝巳 編著
桑村 哲生
佐藤 克文
ジャンル 海洋生物学 > 生理・生態
出版年月日 2010/08/30
ISBN 9784769912293
判型・ページ数 B5・320ページ
定価 本体4,500円+税
在庫 在庫あり

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生態学の各分野の第一人者と新鋭の研究者25名が、これから生態学を学ぶ人たちに向けて書き下ろした魚類生態学ガイドブック。魚類生態学の分野は幅広く奥深いが、概論、方法論、各論に分け、コンパクトに解説。最新の知見・手法をできるだけ取り込み研究現場・授業で活用しやすくした。


はじめに

 魚を研究対象としている人に「魚類生態学とは何か?」とたずねると,実に様々な答えが返ってくる.魚類の生態研究は多岐に亘っている.学際的な仕事も多い.そのため,ひとそれぞれに異なった魚類生態学のイメージがあるのだろう.個体,個体群,種,群集など,研究対象のとらえ方によって,それぞれに異なる魚類生態学がある.
 魚類生態学は生態学や魚類学の一分野ということができる.また同時に,行動学,生理学,水産学,海洋科学の各分野にも深く関わっている.したがって,これらをひとくくりにまとめて定義するのは難しい.そもそも,その必要もないかもしれない.しかし今,環境問題が山積し,漁業資源の枯渇が叫ばれているとき,現在の魚類生態学の研究展開を広く,横断的に俯瞰しておくことは意味がある.生物資源の持続的利用,絶滅危惧種の保護,生態系の保全を図るには,ありとあらゆる手法を駆使して,対象を様々な角度から総合的に理解する,生態学的な見方が必要となるからである.
 近年の研究手法の急速な発展により,現代の魚類生態学は目覚ましい展回を見せている.本書はこれを受けて,多彩な広がりを見せつつ,それぞれに深化している現代魚類生態学の各分野を,できる限り広く網羅し,わかりやすく解説することに努めた.これから生態学を学ぼうとする人がこの一冊を読めば,最新の魚類生態学の基本的事柄は全てわかる,最高のガイダンス書を目指した.また他分野の研究者にとっては,本書を読むことによって魚類生態学という広く,奥深い学問を一望することができる参考書としての機能も持たせるよう構成した.
 本書は概論、方法論、各論の3部構成となっている.これによって魚類生態学の重要な概念,主要な研究手法,多様な研究展開を的確に伝えることを狙った.本書を読むことによって,魚の不思議な行動や社会,特異な生態や生活史に対する興味と探求心が,読者に湧き上がってくれば幸いである.また,第2部として「方法論」を設けたことは,本書最大の特徴となっている.本章が新しく魚類の生態研究を始めようという人にとって,直ちに役立つ実戦的情報になれば編者著者共に無上の喜びである.
 本書は主に,現在魚類生態研究の第一線で活躍する新進気鋭の研究者によって執筆された.25名の執筆者は全員魚類生態学のおもしろさを生き生きと描写し,魅力あふれる章に仕上げてくれた.これらの方々の協力がなければ,この膨大な学問分野をコンパクトな一冊の書として紹介することは到底できなかった.編者として深く感謝する.(後略)

第1部 概論  1章 環境(篠田 章・塚本勝巳)  2章 生活史(吉永龍起)  3章 行動(桑村哲生)  4章 社会(幸田正典)  5章 集団と種分化(峰岸有紀・塚本勝巳)  6章 回遊(塚本勝巳) 第2部 方法論  7章 形態観察(渡邊 俊)  8章 遺伝子解析(青山 潤)  9章 耳石解析(大竹二雄)  10章 安定同位体分析(奥田 昇)  11章 行動観察(益田玲爾)  12章 個体識別(片野 修・勝呂尚之)  13章 バイオロギング(佐藤克文) 第3部 各論  14章 変態と着底(田川正朋・田中 克)  15章 生残と成長(山下 洋)  16章 性転換(須之部友基)  17章 寿命と老化(吉永龍起)  18章 採餌生態(佐原雄二)  19章 捕食と被食(小路 淳)  20章 産卵と子の保護(赤川 泉)  21章 攻撃(阪倉良孝)  22章 なわばり(幸田正典)  23章 群れ行動(益田玲爾)  24章 共生(黒木真理)  25章 個体数変動(渡邊良朗)  26章 外来種による生態系の攪乱(中井克樹)

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