メジナ 釣る? 科学する?

メジナ 釣る? 科学する?

磯の至宝メジナを徹底解剖したわが国初の専門書

著者 海野 徹也 編著
吉田 将之 編著
糸井 史朗 編著
ジャンル 海洋生物学 > 生物学一般
出版年月日 2011/06/27
ISBN 9784769912552
判型・ページ数 A5・240ページ
定価 本体2,400円+税
在庫 在庫あり

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磯の至宝といわれ、美しいマリーンブルーの体色やオパールのような神秘的な輝きを放つ眼、そんな風体からは想像できないほどの力強い遊泳力など、これまで多くの釣り人を魅了してきたのがメジナだ。本書ではこのメジナを、魚類研究者と釣り名人、釣具開発者らが一緒になって徹底的に解剖。いわばわが国初のメジナ解体新書。執筆者は釣り名人豊田直之、宮川明、鵜澤政則、松田稔、野球選手の城島健司、ロックバンドMONGOL800の高里悟の各氏など多彩。さかなクンがオビで推薦のイラスト。


はじめに

ようこそ、メジナの舞台へ

 メジナは「私たちがメジナですよ!」といわんばかりに小磯や防波堤で元気な姿を見せてくれます。そんな愛らしい姿に往年の先生たちも誘惑されたのでしょう。メジナ研究は1950年代から学術雑誌で散見できるのです。その後、メジナは多くの研究者に注目され……と続けたいところなのですが、少し話は違うのです。1970年代になると、食料としての魚を確保するための養殖や栽培漁業が発展しました。養殖や放流されるようなマダイやクロダイたちが研究の主役になったのです。
 研究では脇役になってしまったメジナなのですが、彼らは研究よりずっと大きな晴れ舞台で脚光を浴びるようになりました。その舞台こそが国民的レジャーである“釣り”なのです。メジナ釣は1960年代のオキアミの流通によって、ままたく間に全国に広がったのです。釣りをしない人には「釣りなんて!」と言われるかもしれませんね。でもメジナはとんでもない経済効果をもたらしています。メジナのお陰で普段は人々が訪れることのない港町にまで活気あふれるのです。それに釣具には惜しげもなく最新技術が注がれています。開発された技術は私たちの生活にも役立っています。何より、メジナたちは決してお金で買うことができない“癒しの世界”を提供してくれるのです。釣り魚随筆家、小西英人氏の言を借りると、メジナこそが“磯の至宝”なのです。
 さて、今日まで釣りという大舞台で活躍しているメジナですが、研究では脇役という日々が続きました。ここで、もう一度、メジナの研究に話をもどします。はじめに紹介したようにメジナは養殖も放流もされていません。でも、少し見方を変えてメジナを考えてみましょう。
 今日、環境の悪化や漁獲により魚が減っている中、メジナは人(放流)の力を借りずに自力で繁殖しています。それにメジナは放流も養殖もされていませんから、メジナたちはすべて純粋な天然魚ということになります。日本に広く分布する魚の中で、遺伝子を含め、古来より天然のまま姿を残している魚がメジナなのです。そんなメジナから学ぶべきことはきっと多いはずです。
 研究ではしばらく脇役になっていたメジナですが、貴重な生物学的な背景を持ち、人々に貢献してきたメジナの価値は見直されるようになりました。最近では、資源動態(吉原ら,2000)、成長と成熟(前田ら,2002)、分類学的検討(Yagishitaら, 2000)、分子系統(Yagishitaら,2003)、種分化過程(Itoiら,2007)、視物質オプシンのクローニング(Miyazakiら,2005)、色覚の検討(吉田ら,2007)、遺伝マーカーの開発(Oharaら,2003)、遺伝的集団構造(Uminoら,2009)など、資源、生態、分類、生理、遺伝といった主要な分野でメジナが登場するようになりました。どれも最新の技術を駆使したアプローチなのです。メジナ研究はこれから輝きを放ちながら、魚類研究の道標になりそうな勢いさえ感じられるほどです。
 やっとメジナ研究が長い眠りから覚め、メジナたちが研究と釣りという二つ舞台で主役になったところで、記念すべき世界初のメジナ専門書が誕生しました。この本は魚類学の専門書としては異例な試みがあります。それは研究者と釣りで活躍している執筆陣が登場するところです。メジナのすべてを知っていただくために、二つの舞台での輝かしい功績を披露したかったからです。メジナ釣りが好きな皆さまには“生き物”としのメジナに接していただきたいのです。
 この本をきっかけに、メジナファンが増え、メジナを原点に研究者も釣り人も一体になる、そして、メジナたちに関わる人々が幸せになれば、あのメジナたちもきっと微笑んでくれるでしょう。「メジナ 釣る? 科学する?」を存分お楽しみください。
 (後略)

第1章 メジナたちはどこからきて、どう生きるのか  1-1 分類と分布(柳下直己)  1-2 子メジナの変貌(鈴木伸洋)  1-3 メジナとクロメジナの出会い(間野伸宏・糸井史朗)  1-4 メジナ幼魚の動態(吉原喜好) 1-5 メジナの成長と成熟(前田充穂) 1-6 水族館での産卵行動(阪本憲司) 1-7 メジナとクロメジナの低温適応(小島隆人) 第2章 メジナを取り巻く人と自然  2-1 遺跡のメジナ学(石丸恵利子) 2-2 メジナとクロメジナをみわける業(糸井史朗) 2-3 メジナとイシダイの雑種(家戸敬太郎・熊井英水) 2-4 メジナに寄生虫!(間野伸宏) 2-5 巨大クロメジナの正体(海野徹也) 2-6 ナンキョクオキアミ(高野篤成) 第3章 はまる! きわめる! メジナ釣り  3-1 海の中からみてみれば(豊田直之) 3-2 グレと遊ぶ(宮川 明) 3-3 メジナ釣りを伝えたい(鵜澤政則) 3-4 鬼才が語るグレ釣り(松田 稔、聞き手:海野徹也) 3-5 釣りのない人生なんて(城島健司) 3-6 オキアミのない国のメジナ釣り(斉藤英俊) 第4章 メジナ釣具の進歩  4-1 日本の技術が光るカーボンロッド(能島康匡) 4-2 リールの使命(榧木高男) 4-3 最強の釣り糸のために(黒田昭仁) 4-4 釣り針の進歩(麻田尚弘) 4-5 メジナ釣りに最適なエサを作る(藤原 亮) 4-6 釣りが高じて釣具メーカーへ(斉藤高志) 第5章 メジナの体のしくみと生態-釣魚学あれこれ- 5-1 メジナの眼(海野徹也)  5-2 分子からみたメジナの眼(国吉久人) 5-3 食べ方までわかるメジナの歯(神田 優) 5-4 最新技術でみたメジナの食べ物(高井則之) 5-5 メジナの“こころ”をよむ(吉田将之) 第6章 メジナの未来のために  6-1 メジナを次代にのこすために(大原健一) 6-2 資源保護先進国に学ぶ(斉藤英俊) 6-3 メジナたちを育む自然を守る(神田 優) 6-4 届け想い(高里 悟)

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