測り方の科学史 II

原子から素粒子へ

測り方の科学史 II

極小物質に迫る人間の創意工夫の歩みを辿る

著者 西條 敏美
ジャンル 科学一般 > 科学史
出版年月日 2012/03/21
ISBN 9784769912705
判型・ページ数 A5・192ページ
定価 本体3,200円+税
在庫 在庫あり

この本に関するお問い合わせ・感想

どのようにして、人は、目に見えない原子の存在を見つけたのだろうか? そして、その大きさを測ることができたのだろうか。原子から素粒子の発見へとミクロの世界を極めようとする人間の叡智の歩みを結果的にではなくプロセスに焦点を当てて、簡潔に紹介する。授業では教わることのない教養科学史読み物。『Ⅰ巻地球から宇宙へ』とあわせ、すべての自然物の測り方に関する人間のあゆみがわかる。「測る」世界の歴史を堪能できる。


はじめに

 古代哲学者のプロタゴラスは、「人間は万物の尺度である」と言ったという。人間は、絶え間なく流転してとどまることを知らない大自然の神秘を解き明かし、これまでに多くの知識を獲得してきた。それは宇宙から素粒子にいたる悠久の自然の知識といえよう。
しかし、その知識はあくまで人間が、人間の眼を通して手に入れてきた知識である。知識の基準となるものは、人間を尺度としたものであることをまぬがれない。ものの長さや質量、あるいはそのうつろいを表す時間には、それぞれメートル(記号m)、キログラム(kg)、秒(記号s)などの単位が用いられるが、これらはみな人間を尺度としている。1メートルは手を軽く広げた程度の長さであり、1キログラムも人間の手で軽く持てる程度の重さである。1秒も人間の心拍数と大体一致するとみればよい。
 かよわい人間であるが、これまでに多くの知識を手に入れ、人類共通の知的財産を築き上げてきた。
 学校教育においては、これらの膨大な知識を要領よく伝達しなければならないために、知識の結論部分の詰め込み方式になってしまう。科学と技術に携わる人でも、いろいろな測定器が開発されて、瞬時に必要な結果を知ることができるようになったが、その意味がわかりにくくなってしまった。その結果、現代人は多くの結果としての知識はよく知っているが、それがどのようにして得られた知識なのか、理解していないことが多くなった。知識が実感の伴わない無味乾燥なものになってしまった。
 たとえば、原子の大きさは1億分の1cm程度、原子核の大きさはその約1万分の1程度、電子の質量にいたっては9.1×10-31kgなどと精密値をそらで言えたりもする。地球についても、球形をしていて、周囲4万km、その年令は46億年、月までの平均距離は36万km、太陽までの平均距離は1億5千万kmなどということもよく知っている。
 しかし一方で、人間がこれらの知識を持つにいたったのは、実にたいへんなことのように思える。人間の身長はたかだか1mほどである。その人間が、自身の100億分の1しかないような小さな世界に分け入り、原子の大きさの測定に成功し、さらに原子よりはるかに小さい素粒子の大きさまで、その値が求められているのだ。銀河や宇宙の大きさになると、想像を絶する大きな世界であるが、これまた空間を隔てた測定に成功し、各種の値が求められている。
 実感の伴わなくなったこれらの知識がどのような方法で得られたのか、その測り方、それも先端的方法よりもその研究が行なわれた初期の方法を重視しながら、知の探検に出かけてみたい。

第1章 原子  1.原子の質量の測り方 2.原子の大きさの測り方 第2章 分子  1.分子運動の速さの測り方 第3章 光 1.光の速さの測り方 2.光の波長の測り方 第4章 電子 1.電子の質量の測り方 2.電子の電荷の測り方 3.原子内の電子数の測り方 第5章 原子核 1.原子核の質量の測り方 2.原子核の大きさの測り方 3.放射性原子核の寿命の測り方  第6章 中性子 1.中性子の質量の測り方  第7章 中間子 1.中間子の質量の測り方  第8章 素粒子 1.クォークの大きさと質量の測り方 2.ニュートリノの質量の測り方 3.素粒子の寿命の測り方

ご注文

3,200円+税

書店で購入

カートに入れる

シェアする

このエントリーをはてなブックマークに追加

同じジャンルの商品

おすすめ書籍

お知らせ

一覧