食品衛生学

食品衛生学

前著を改訂。放射性汚染物質の問題等も収録

著者 山中 英明
藤井 建夫
塩見 一雄
ジャンル 食品学 > 食品衛生
出版年月日 2012/04/02
ISBN 9784769912682
判型・ページ数 A5・288ページ
定価 本体2,500円+税
在庫 在庫あり

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食品衛生学のテキストとした好評を得た前著を大幅に改訂。データをすべて最新のものに改訂し、かつ新たに緊急の課題となっている放射性汚染物質の問題、またこれまで原因不明とされていた馬刺しやヒラメの刺身での食中毒の原因生物について、そして新たに生食用食肉の指標菌に設定された腸内細菌科菌群についてなど解説した。


はじめに

 本書は1999年に恒星社厚生閣から刊行した『食品衛生学』の第三版として上梓するものである。
 私たちが『食品衛生学』の刊行を思い立った1990年代後半は、堺市でのO157事件(1996)、いか乾燥菓子によるサルモネラ食中毒事件(1999)など、これまでとは異なる原因菌による大規模食中毒が相次いで発生し、また衛生化学の分野でも内分泌撹乱化学物質が話題を集めていた。一方、行政面でも食品衛生法が改正され(1995)、HACCPの考え方を取り入れた「総合衛生管理製造過程」の承認制度が始まるなど、食品衛生に関連した大きな出来事が続いた時期であった。
 当時私たちは大学で食品衛生関連の授業を担当していたが、従来の教科書では、実態にそぐわず不便を感じるようになったため、最新の情報をできるだけ取り入れ、わかりやすい教科書を作りたいと思った訳である。懇切丁寧かつ平易に記すよう努めたこともあって、いくつかの大学や短大で教科書として採用して頂くことができ、また読者からは好評を得てきた。しかし、その後も、加工乳によるブドウ球菌食中毒事件(2000)をはじめ、カンピロバクターやノロウイルスによる食中毒事例などが急増し、加えてBSE(牛海綿状脳症)や食品の偽装表示、輸入野菜の農薬汚染、指定外添加物の使用など、食の安全・安心を揺るがす問題が次々と生じ、さらに行政面でも、消費者の安全確保を掲げた食品安全基本法が制定され、これを受けて食品安全委員会の設置、食品衛生法の改正など、大きな変化がみられた(2003)。そこでこのような変化に対応するため、『食品衛生学』を全面的に見直し、初版で触れなかったBSEや遺伝子組換え食品、食物アレルギー、農薬のポジティブリスト制、ISO 22000などの新しい話題も取り上げ、食中毒統計も最新のものと入れ替え、2007年に『食品衛生学第二版』として出版した。
 それから5年になるが、この間にも相変わらず多くの食品衛生上の問題が生じており、ユッケによるO111事件や東日本大震災(原子力発電所事故)に伴う放射性汚染物質の問題などは記憶に新しいところである。これらの事件に関連しては、生食用食肉の規格基準や食品中の放射性物質の基準値が設けられたりした。またトピックスとして、原因不明とされていた鮮魚による食中毒の原因生物が判明したこと、生食用食肉の指標菌として腸内細菌科菌群が新たに設けられたことがあげられる。今回、このような新しい問題に対処するため、再度内容を見直すとともにデータを更新し、稿を新たにしたのがこの『食品衛生学第三版』である。
旧版と同様、わかりやすく説明するよう心がけたので、大学や短大、専門学校などでの教科書や参考書としてのみならず、一般消費者や食品関連企業に携わる方々にも役立つものと考えている。
 本書の内容、構成についてはかなり入念に検討したつもりであるが、未だ不十分な点があるかもしれず、ご指摘,ご教示を賜れば幸いである。(後略)

第 1 章 食品衛生の概念と食品衛生行政 1.食品衛生の概念 2.食品衛生行政  2・1 食品衛生に関する法律  2・2 食品衛生行政の体制 2・3 リスク管理体制 2・4 リスクコミュニケーション体制  第 2 章 食中毒発生状況 1.食中毒とは2.食中毒統計  第 3 章 微生物性食中毒 1.わが国の微生物性食中毒の発生状況 2.微生物性食中毒の種類3.食中毒微生物と食品原材料・加工品との関係 4.主な食中毒微生物の概要 5.主な微生物性食中毒  5・1 サルモネラによる食中毒 5・2 腸炎ビブリオによる食中毒 5・3 カンピロバクターによる食中毒 5・4 腸管出血性大腸菌による食中毒 5・5 ブドウ球菌による食中毒 5・6 ボツリヌス菌による食中毒 5・7 ウェルシュ菌による食中毒 5・8 セレウス菌による食中毒 5・9 リステリアによる食中毒 5・10 赤痢菌による食中毒 5・11 ノロウイルス食中毒 5・12 クリプトスポリディウムによる疾病 第 4 章 自然毒食中毒 1.動物性自然毒 1・1 フグ毒 1・2 シガテラ毒 1・3 魚卵毒 1・4 コイの毒 1・5 パリトキシン 1・6 異常脂質 1・7 ビタミンA 過剰症 1・8 麻痺性貝毒 1・9 下痢性貝毒 1・10 記憶喪失性貝毒 1・11 バイの毒 1・12 巻貝の唾液腺毒 1・13 アワビの毒 1・14 甲殻類の毒 2.植物性自然毒  2・1 キノコ毒 2・2 トリカブトの毒 2・3 バイケイソウの毒 2・4 チョウセンアサガオ類およびハシリドコロの毒 2・5 ドクゼリの毒 2・6 シキミの毒 2・7 ドクウツギの毒 2・8 バレイショの毒 2・9 青酸配糖体 2・10 発がん性の植物毒 2・11 オゴノリの毒   第 5 章 化学性食中毒 1.化学性食中毒の発生状況 2.有害金属 2・1 水銀(Hg) 2・2 ヒ素(As) 2・3 カドミウム(Cd) 2・4 銅(Cu) 2・5 スズ(Sn) 2・6 鉛(Pb) 2・7 セレン 2・8 クロム(Cr) 3.農 薬  3・1 農薬の種類 3・2 残留農薬基準 3・3 ポジティブリスト制度 4.PCB 4・1 PCB の性質・毒性 4・2 食品中の PCB 規制値5.アレルギー様食中毒 6.変敗油脂(酸化油脂) 6・1 変敗の過程 6・2 変敗の指標 6・3 変敗油脂の毒性と中毒事例 7.カビ毒(マイコトキシン)  7・1 アフラトキシン 7・2 赤カビ毒 7・3 黄変米中毒 7・4 パツリン 7・5 その他のマイコトキシン 8.N-ニトロソ化合物 8・1 N-ニトロソ化合物の生成 8・2 N-ニトロソ化合物の発がん性と中毒事件9.内分泌攪乱化学物質(いわゆる環境ホルモン) 9・1 内分泌撹乱化学物質とは 9・2 ダイオキシン 9・3 ビスフェノール A  第 6 章 食品添加物 1.食品添加物とは 2.食品添加物の規格および基準 3.食品添加物の表示  3・1 物質名による表示 3・2 用途名併記による表示 3・3 一括名による表示4.食品添加物の安全性 4・1 毒性試験 4・2 最大無作用量(無毒性量) 4・3 1日摂取許容量(ADI) 4・4 使用基準 5.食品添加物各論 5・1 指定添加物 5・2 既存添加物 5・3 天然香料 5・4 一般に食品として飲食に供されているものであって添加物として使用されている品目 6.違反添加物 6・1 違反着色料 6・2 違反甘味料 6・3 違反保存料 6・4 違反殺菌料  第 7 章 食品の汚染指標細菌 1.食品の微生物学的安全性と汚染指標細菌 2.汚染指標細菌として望ましい条件 3.大腸菌群 4.大腸菌 5.腸球菌 6.腸内細菌科菌群  第 8 章 食品の腐敗 1.腐敗とは 2.腐敗微生物の分布と食品への汚染  2・1 自然界における腐敗微生物の分布 2・2 食品原料における腐敗微生物の分布 2・3 食品の加工工程における微生物汚染 3.腐敗による化学成分の変化  3・1 におい成分 3・2 その他の腐敗産物 4.食品に特有の腐敗微生物 4・1 生鮮食品の腐敗 4・2 加熱殺菌工程のある食品の腐敗 5.腐敗の判定 5・1 官能的方法  5・2 細菌学的方法 5・3 化学的方法 5・4 物理的方法 5・5 魚介類の鮮度  第 9 章 食品の微生物制御 1.微生物制御の原理  1・1 付着菌数の低減 1・2 微生物の増殖抑制 1・3 微生物の殺滅2.加熱による微生物の殺滅  2・1 微生物の耐熱性 2・2 食品の加熱殺菌 2・3 低温殺菌と高温殺菌3.冷蔵・冷凍による微生物の増殖抑制 3・1 微生物の増殖と温度 3・2 凍結による微生物の死滅 3・3 低温の貯蔵効果  4.食塩による微生物の増殖制御 4・1 微生物の増殖と食塩濃度 4・2 塩蔵の効果  5.水分活性の調整による微生物の増殖制御 5・1 微生物と水 5・2 微生物の増殖と水分活性 5・3 食品の水分活性調整による腐敗防止  6.pH 調整による微生物の増殖制御 6・1 微生物の増殖と pH 6・2 酸による腐敗防止 7.ガス置換による微生物制御  7・1 微生物の増殖とガス組成  7・2 ガス置換包装の貯蔵効果 8.食品添加物による微生物制御 9.複合効果による微生物制御 10.各種食品に対する微生物の規格・基準 第 10 章 HACCP システム 1.HACCP とは 2.HACCPシステムの構築 3.一般的衛生管理プログラム 4.加工場での HACCP の適用 5.HACCP のメリット 6.ISO 22000  第 11 章 食品衛生に関する最近の話題 1.放射性物質  1・1 放射線,放射能,放射性物質  1・2 食品中の放射性物質の基準値 2.胞子虫(寄生虫)  2・1 中毒発生状況  2・2 クドア・セプテンプンクタータ  2・3 ザルコシスティス・フェアリー 3.食物アレルギー  3・1 食物アレルギーの発症機構  3・2 食物アレルギーの発生状況  3・3 アレルギーを起こすおそれがある食品の表示  3・4 アレルゲンの種類 4.遺伝子組換え食品 4・1 遺伝子組換え食品とは 4・2 遺伝子組換え食品の安全性審査   4・3 遺伝子組換え食品の表示 5.BSE(牛海綿状脳症)  3・1 BSEとは 3・2 BSE の原因物質 3・3 BSE 対策 付録 1 食品安全基本法 付録 2 食品衛生法  索  引

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