魚類生理学の基礎

魚類生理学の基礎

基本をおさめた魚類生理学の定番テキスト

著者 会田 勝美 編著
金子 豊二 編著
塚本 勝巳
ジャンル 海洋生物学 > 生理・生態
出版年月日 2013/01/30
ISBN 9784769912934
判型・ページ数 B5・272ページ
定価 本体3,800円+税
在庫 品切れ・重版未定

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魚類生理学の定番テキストとして好評を得た前書を、新知見が集積されてきたことにふまえ、内容を大幅に改訂。生体防御、生殖、内分泌など進展著しい生理学分野の新知見、そして魚類生理の基本的事項を的確にまとめる。水産学部、農学部、理学部でのテキストに最適。


はじめに

増補改訂版の発行にあたって

 『魚類生理学の基礎』の初版第1刷が発行されたのが、2002年12月15日のことですから、それから10年が経過したことになります。構想期間や原稿執筆期間を考えると、10年以上前から出版準備は始まっていたことになります。その後、2005年3月に第2刷が、2008年3月に第3刷が発行されました。2010年秋に第3刷の残部が残り少なくなったことから、12月頃には第4刷を発行したいという話がありました。そこで何人かの執筆者の方々にお伺いしましたところ、新知見が出てきているので大幅に内容を変えたいとの希望を寄せられた方もおりましたが、発行まで2,3ヶ月しか時間が無いため、第4刷については、必要最小限の変更にとどめ、第5刷発行の予定される2012年の末頃に、必要な章には新知見を加えて増補改訂版として発行することにいたしました。
 本書の刊行の趣旨は、初版の「まえがき」にも書きましたが、1977年に出版された『魚類生理学概論』(田村
保編)の後継の教科書という位置づけです。執筆にあたっては、水産系大学で魚類生理学を初めて学ぶ学部学生諸君を対象としましたが、大学院修士課程の入学試験に向けての参考書としての位置づけも考えました。しかし、発行後、魚類生理学分野以外の先生方からも、「買って、勉強している」という話をよくお聞きしました。
 本書の特色の一つは、これも「まえがき」に書きましたが、第1章として総論をおき、魚の体を構成している細胞、組織、器官について概説し、さらに個体レベルの生理現象を有機的に調節している生体制御系と、その機能に大きく関わっている温度や光などの物理化学的環境と生物学的環境の影響について概説したことです。
 これには実は別の要因もありました。それは東大農学部の大学院重点化です。大学院重点化したら、大学院の教育にかなりの時間を割かなければならないので、学部の講義は2/3に減らし、その分大学院教育の講義の充実に充てよ、というのが当時の農学部長であった鈴木昭憲先生の方針でした。学部長の補佐として、大学院重点化の概算要求書案の作成に携わっていた会田としては、率先して学部講義の削減をしなくてはなりませんでした。当時、会田が所属していた講座では、水産動物解剖学(必修)、水産動物生理学(必修)、水産動物発生学(選択)のそれぞれ2単位の講義を担当していました。しかし、上記のような方針に則り、水産動物学解剖学は水産動物生理学に含めることにし、担当講義を2/3に減らしました。その後『魚理生理学の基礎』発行の話があった時に、是非水産動物解剖学のエッセンスの部分(組織学の部分ですが)を中心に、総論という形にしたいと考えた次第です。この試みは、結構評判が良かったように思います。総論以外の章は各論として、それぞれの専門家の方々に書いていただきました。また『魚類生理学概論』にはなかった章も新たに設けました。総論と各論を通じて、魚類生理学を体系的に学ぶことができると評価していただけたように思います。
 さて増補改訂版を発行するにあたって、初版の編者としては、初版から20年ほど後には刊行されると思われる新しい『魚類生理学の基礎』の礎も増補改訂版にはある程度組み込んでおきたいと思い、初版執筆陣に加えて、将来を担うであろう若手研究者にも加わっていただこうと思いお願いいたしました。快くご賛同いただいた方々にお礼申し上げます。編者も私一人から、金子豊二先生に加わっていただきました。
 本書は教科書ですので、ジェネラルな部分が主体になることに変わりありませんので、編者としてはその辺のバランスは各章のこれまでの執筆者の方々に責任執筆者として調整していただき、原稿を纏めてくださいとお願いしました。もう一つ重要な事は、本書は教科書ですので、販売価格を現在と同額に維持したいということから、全体としての増ページは極力抑えていただきました。新知見が増大しているおりから、大変難しい判断をお願いすることになり申し訳なく思っております。
 『魚類生理学の基礎』発行後、何冊かの教科書(『○○の基礎』シリーズ)が発行されており、また進行中のものもあるとのことで、『魚類生理学の基礎』が、その先駆けとなったものとうれしく思っています。かつて1年間、某大学を兼担した時、同名の講義でも担当教員により内容が異なることを知りました。それが教科書を作る動機になりました。教科書があると講義をする教員が不要になるかもしれないと危惧する方もおられますが、一方で、講義内容の基本部分の共通化が図られる、講義の準備に要する時間が少なくなるので、その分他のこと、例えば新知見を講義内容に追加したり、講義時間に学生との交流ができるなどのメリットもあるでしょう。ぜひ、本書をご活用いただければと思います。
 増補改訂版の発行にあたり、間違いなどは修正したつもりですが、なお不十分な点やわかりにくい点があろうかと思います。忌憚のないご意見、ご批判をお寄せください。(後略)

第 1 章 総論(細胞 組織 器官 ゲノムと遺伝 生体の制御)
第 2 章 神経系(中枢神経系 末梢神経系)
第 3 章 呼吸・循環(魚の呼吸 呼吸器 鰓によるガス交換 血液によるガス運搬 酸素消費量 鰾 循環)
第 4 章 感覚(化学的感覚 視覚 物理的感覚)
第 5 章 遊泳(水中の運動 遊泳と形態 遊泳速度 呼吸と循環 筋活動 体温 遊泳の力学)
第 6 章 内分泌(内分泌とホルモン 情報伝達・生体調節系としての内分泌系 化学構造によるホルモンの分類 ホルモンの受容体と細胞内情報伝達系 ホルモンの合成と放出 魚類の内分泌系 視床下部‐下垂体系 松果体 甲状腺 スタニウス小体 鰓後腺 間腎腺とクロム親和細胞群 レニン‐アンギオテンシン系 胃腸膵内分泌系 心臓の内分泌系 尾部神経分泌系 胸腺 プロスタグランジン 成長因子 新しく発見されたホルモン)
第 7 章 生殖(魚類の性と生殖様式 生殖腺の構造と発達 生殖関連ホルモン 生殖内分泌 環境と生殖 魚類の生殖行動 生殖統御)
第 8 章 変態(変態とは何か 体組織の変化 変態の調節機構 種苗生産過程の変態異常とその防除 硬骨魚類における変態現象)
第 9 章 消化・吸収(消化器官の構造と機能 消化・吸収 消化器官の運動と分泌の制御)
第 10 章 代謝(糖代謝 脂質代謝 タンパク質代謝と成長 産卵回遊と代謝)
第 11 章 浸透圧調節・回遊(内部環境とイオン・浸透圧調節 魚類の浸透圧調節 浸透圧調節とホルモン 浸透圧調節と通し回遊 発育初期の浸透圧調節)
第 12 章 生体防御(自然免疫 獲得免疫 生体防御のさまざまな側面)
付 録 本書に引用された魚類の和名と学名の一覧表

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