微量人工化学物質の生物モニタリング

水産学シリーズ140

微量人工化学物質の生物モニタリング

環境化学物質の汚染実態とモニタリング手法

著者 竹内 一郎 編著
田辺 信介 編著
日野 明徳
ジャンル 水産学 > 水産学シリーズ
海洋学・環境科学 > 環境
シリーズ 水産学シリーズ
出版年月日 2004/11/20
ISBN 9784769910053
判型・ページ数 A5・152ページ
定価 本体2,800円+税
在庫 品切れ・重版未定

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今日、人工化学物質の生産・利用・流通量が増え、その環境へのリスクが心配される。しかし、現状はなかなか未解明の課題が多く、今後の調査・研究の進展に期待がかけられている。本書は近年実施された研究プロジェクトの成果を基礎に環境化学物質の汚染実態、分析技術の現状と課題などについてまとめられた注目の書


はじめに

 日本,韓国などの東シナ海周辺部に位置する東アジア地域は,ドイツ,オランダ,ベルギーなどの北海沿岸のヨーロッパ諸国と同様に,面積当たりの GDPが世界的に高い地域である.このような地域に居住する我々は生活のあらゆる面で経済の高密度化の恩恵を享受できるようになった.その一方で,人工化学物質の生産・利用・流通量が多いなどその環境リスクも世界的にみても高くなっているであろうと考えられ,人工化学物質の使用がもたらすトレードオフを考える必要があろう.日本における漁業・養殖業の生産量は1980 年代に 1,200万 t 台を記録して以来急激に減少し続けており,2000 年にはピーク時の 1/2 近くとなった.1996 年に出版されたシーア・コルボーンらの「奪われし未来(Our Stolen Future)」を契機として,人工化学物質の一部は生物の体内であたかもホルモンのようにふるまい,生物の内分泌系を攪乱することが多くの研究者によって指摘されるようになった.このような内分泌攪乱作用は一般に慢性毒性が発現するレベルよりもさらに低い濃度で発現することが示唆されている.日本でも,その後,直ちに,様々な研究機関により内分泌化学物質が水生生物に及ぼす影響に関する研究が開始され,水産学シリーズでも,2000 年に『水産環境における内分泌攪乱物質(川合真一郎・小山次朗編)』が発刊された.このようなことから,漁業生産量の減少に及ぼす要因には様々なことが考えられてきたが,今後は,それらに加え,微量の人工化学物質の影響も考慮する必要があろう.しかし,日本沿岸の海洋生態系における環境化学物質の濃度はどのようなレベルなのか? 微量の人工化学物質濃度でどのような生物にどのような内分泌攪乱作用,あるいは,その他の毒性影響が発現するのか? 影響があると思われる人工化学物質は,生態系の中で,どの程度生物濃縮されるのか? などの多くの未解明の課題が残されているのが現状である.
 このような状況をふまえ,平成 15 年度日本水産学会春季大会にて,水産環境保全委員会シンポジウム「生物による微量人工化学物質のモニタリング」を開催した.本シンポジウムでは,近年,実施された様々な研究プロジェクトの成果を基に,地球レベルでの環境化学物質の汚染実態,分析技術の現状と課題,日本で実施されてきた生物を用いた人工化学物質のモニタリング方法などに関する研究成果が報告された.総合討論では,人工化学物質の生物モニタリングに関する将来の研究動向や研究を実施する上での課題などにについても活発な議論が展開された.
 本書は,本シンポジウムで発表された内容を基に,その後,発表された最新の研究成果も含め,これまでの生物を使用した人工化学物質モニタリングの成果を総括するとともに今後の課題に関する総合討論をとりまとめたものである.水産学の今後の環境研究の発展に貢献することができれば幸いである.

I. 環境化学物質研究の必要性
1. 人工化学物質,環境政策,水産の生産量(竹内一郎)
II. 無脊椎動物
2. ムラサキイガイ類(高田秀重・秋山賢一郎・山口友加・堤 史薫・金井美季・遠藤智司・滝澤玲子・奥田啓司)
3. 巻貝類 (堀口敏宏)
4. イカ類 (田中博之)
5. ワレカラ類 (竹内一郎)
III. 脊椎動物
6. メダカ (大嶋雄治・姜 益俊・島崎洋平・仲山 慶・羽野健志・本城凡夫)
7. 沿岸性魚類(原 彰彦・征矢野清・大久保信幸・松原孝博)
8. カツオ-1 (河野久美子)
9. カツオ-2 (田辺信介・上野大介)
10. 水棲哺乳類・海鳥類(岩田久人・金 恩英・田辺信介)
IV-11.生物モニタリングの今後の課題(竹内一郎)

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