151 海洋深層水の多面的利用

養殖・環境修復・食品利用

151 海洋深層水の多面的利用

海洋深層水の活用に関して最新情報を紹介

著者 伊藤 慶明 編著
高橋 正征 編著
深見 公雄 編著
ジャンル 水産学 > 水産学シリーズ
海洋学・環境科学 > 環境
シリーズ 水産学シリーズ
出版年月日 2006/10/10
ISBN 9784769910473
判型・ページ数 A5・159ページ
定価 本体2,800円+税
在庫 在庫あり

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循環再生可能な新たな資源の活用が急務とされる今日、エネルギー源として、また鉱物・栄養塩類など多様な資源供給力をもつ海洋深層水が注目される。本書は科学的データを基礎にその特性と各分野での利用と研究の最前線を紹介する。


はじめに

 世界的な最重要関心事である社会の持続性の強化には,20世紀に多用した化石燃料への依存度を下げ,代わりに太陽光・風力・海洋深層水などの,循環再生の速やかな資源の利用に変えていくことが急務である.太陽光・風力はエネルギーに限定されるが,海洋深層水はエネルギーを始め,鉱物・栄養塩類・水など,人類が必要とする多様な物質資源の供給力をもち,その利用法の開発が望まれてきた.

 海洋深層水に関する研究としては,1985年に科学技術庁アクアマリン計画モデル実証地域として室戸での海洋深層水の資源利用研究が最初で,1986年に「海洋深層水資源の有効利用技術の開発に関する研究」が5ヶ年計画で始まった.これ以来ほぼ20年を経た.

 1989年には室戸に海洋深層水取水施設が日本で初めて設置され,水産資源生物の養殖が進められ,富山では洋上型の深層水取水施設が設置され海の環境改善への効果についての実験が始まった.
 1995年には深層水が一般に分水されるようになり,食品や化粧品などへの利用が進み,「魔法の水」と言われるほどの深層水ブームをひき起こした.1998年には「室戸海洋深層水の特性把握および機能解明」が3ヶ年計画で行われ,深層水の効果に関する科学的根拠と特性の解明に力が入れられた.さらにその後の研究により食品分野で作用機構に関する新しい知見が出ている.一方,深層水の利用が実用的に事業として成功しているものもでてきている.

 ところで,上記のように多岐にわたる海洋深層水利用を包括的にとりまとめた書物はこれまでに未だ出版されていない.海洋深層水を人類が必要とする物質資源の供給源とするためには,海洋深層水資源の様々な分野に関連した研究者による積極的且つ総合的な研究・利用技術開発がまだまだ不可欠である.

 そこで,水産養殖,環境修復,食品利用にわたる海洋深層水の利用と研究の最前線について,包括的にまとめ,研究の現状と将来性を示し,今後の研究に資することを目的として本書を纏めた.なお,本書は海洋深層水に関わっておられる研究者および技術者のみならず,海洋深層水について知りたいと思っている学生諸君や海洋深層水を今後利用してみたいと考えておられる民間企業の方々にも,活用されることを望んでいる.

 本書は紙面の制約もあり行き届かなかったところもあると思うが,本書の趣旨を少しでもご理解いただければ幸いである.

I. 海洋深層水とは
1. 海洋深層水の特性と研究の歴史 (高橋正征)
II. 魚介類養殖への利用
2. 魚類の飼育 (村田 修)
3. トヤマエビの種苗生産 (渡辺孝之)
III. 藻類培養への利用
4. 海藻類の培養 (平岡雅規・岡 直宏・永松和成)
5. 単細胞藻類の培養 (深見公雄)
IV. 環境修復への利用
6. 洋上肥沃化 (井関和夫)
7. 藻場造成 (藤田大介)
8. 環境への影響 (池田知司)
V. 食品への利用
9. 食品への利用状況 (伊藤慶明)
10. うどんの品質に与える影響 (森岡克司)
11. 香気への影響 (沢村正義・今江直博)
12. 発酵食品への効果(上東治彦・加藤麗奈・佐見 学・上神久典)
13. アオノリ培養への影響 (野村 明・中田有樹)

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