貝毒研究の最先端

現状と展望―水産学シリーズ153

貝毒研究の最先端

毒化軽減、予知などの貝毒研究の最新情報

著者 今井 一郎 編著
福代 康夫 編著
広石 伸互 編著
ジャンル 水産学 > 水産学シリーズ
海洋学・環境科学 > 環境
シリーズ 水産学シリーズ
出版年月日 2007/03/20
ISBN 9784769910626
判型・ページ数 A5・150ページ
定価 本体2,700円+税
在庫 在庫あり

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貝毒の問題は世界的に発生水域が拡大傾向にあり、瀬戸内海等では潮干狩りの中止という緊急措置がとられるという状況にある。本書は、毒化軽減や毒化を予知する方法の研究など貝毒発生のメカニズムとその予防の最新研究を纏める。


はじめに

 世界中の沿岸海域においては魚類のみならず,カキ,ホタテガイ,イガイなどの有用二枚貝類の養殖が盛んに行われており,貴重な水産食品として重要な役割を演じている.それはわが国沿岸域においても例外ではない.また,アサリなどの天然の貝類は潮干狩りなどの対象として,一般の人々にレクリエーションを通じて海に親しむよい機会を与えている.

 わが国の沿岸域においては,初春から初夏を中心に麻痺性貝毒や下痢性貝毒の二枚貝類への蓄積が頻繁に発生している.これは食中毒の発生といった衛生上の問題となるだけでなく,出荷自主規制の措置がとられることから地域二枚貝産業に対する被害が大きく,養殖産業育成といった水産業の観点からも大きな問題になっている.更には貝毒による風評被害でレクリエーション産業にも悪影響が及び,海への悪いイメージが培われる場合も想定される.2006年春には,大阪湾などで「潮干狩り禁止」が行楽客を対象に実際に関係部局から発令されており,また瀬戸内海の他の沿岸域でも同様の処置がとられることもあり,一般市民にも貝毒の問題は身近なものとして浸透しつつある.

 貝毒の問題は近年世界的には発生水域が拡大傾向にあるが,わが国においても例外ではない.例えば,1980年代までは麻痺性貝毒の発生がまれであった瀬戸内海や九州沿岸域を中心とした西日本の沿岸域でも,1990年代になって以降,麻痺性貝毒が広く且つ頻繁に検出されるようになり,原因生物の分布拡大と在来種の大量発生化の両面で議論がなされつつある.

 貝毒に関して,原因有毒プランクトンの生理生態や毒の分析などの情報がまとめられた書籍は,20年以上前に出版されたものがあるだけで,新しい知見をまとめた書籍の出版が永らく待たれていた.この間,上述のような有毒プランクトンの分布拡大などの新しい問題が生じ,また一方で先端技術を用いた新たな手法の研究開発,ならびに対象有毒プランクトンの生理生態や生活史などに関する研究において著しい進展が認められている.以上のような背景から,本書は,わが国における貝毒についての問題の現状と,現在展開されている貝毒研究の最先端の知見を集めて整理するとともに,二枚貝の毒化軽減対策や毒化予知手法について最新の情報を整理し纏められたものである.

 本書により,わが国における現在の最先端の研究レベルを知ることができると期待されることから,最前線の研究者および卒業研究を始めたレベルの関係分野の学生まで,出来るだけ多くの関係者に本書が活用される事を願っている.また本書が,貝毒問題の将来的な解決に向け,研究進展の捨て石として些かでも貢献できれば幸いである.

1. わが国における貝毒発生の歴史的経過と水産業への影響(今井一郎・板倉 茂)
2. 麻痺性貝毒のモニタリング(大島泰克・濱野米一)
3. 下痢性貝毒のモニタリング(鈴木敏之・濱野米一・関口礼司・城田由里)
4. 有毒プランクトンの分類と顕微鏡を用いたモニタリング(吉田 誠・福代康夫)
5. 貝毒原因有毒プランクトンの分子モニタリング(田辺祥子・神川龍馬・左子芳彦)6. 有毒プランクトンの毒遺伝子による検出と定量の試み(吉田天士・広石伸互)
7. 現場海域におけるAlexandrium属の個体群動態(板倉 茂)
8. Alexandrium属の個体群構造と分布拡大要因の解明(長井 敏)
9. Dinophysis属の個体群動態と生理的特徴(小池一彦・高木 稔・瀧下清貴)
10. Dinophysis属は下痢性貝毒の原因生物か?(西谷 豪・三津谷 正・今井一郎)11. 現場海域における貝毒モニタリングと二枚貝毒化軽減および毒化予察の試み(宮村和良・馬場俊典)

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