158 水産物の色素

嗜好性と機能性

158 水産物の色素

水産物の色素の機能性に関する情報を紹介

著者 平田 孝 編著
菅原 達也 編著
落合 芳博
ジャンル 水産学 > 水産学シリーズ
食品学 > 食品化学・食品加工・食品工学
シリーズ 水産学シリーズ
出版年月日 2008/03/20
ISBN 9784769910763
判型・ページ数 A5・138ページ
定価 本体2,700円+税
在庫 在庫あり

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近年、水圏生物が持つ色素に抗炎症作用、抗がん作用などの栄養生理機能が見いだされ話題になっている。本書は注目されるアスタキサンチン、フコキサンチンなどカロテノイド類の血管新生抑制、抗肥満、免疫調整機能など水産物の色素の機能性に関する最新情報を纏める。


はじめに

 水圏生物はカロテノイド,フラボノイド,プテリジン系色素,メラニン,インドール系色素,キノン系色素,オモクローム,テトラピロール系色素など極めて多様な色素を有している.これらの色素は水圏生物の生存のために様々な働きをしているに違いない.私たちは日常的に魚介類を摂取しているわけだが,これら色素は私たちの体に何の影響も与えないのであろうか.もちろん,タイの鮮やかな赤色は食欲を刺激し,嗜好性という重要な食品機能を有することは明らかである.しかし,色素が水圏生物の生存にとって,重要な役割を担っているのなら,私たちの体にも何からの作用を及ぼすのではないだろうか.

 近年これらの色素に抗炎症作用,抗がん作用などの栄養生理機能が見いだされ,大きな話題となっている.なかでもアスタキサンチン,フコキサンチンなどのカロテノイド類の血管新生抑制,抗肥満,免疫調整機能などには研究者,学生のみならず,機能性食品の開発担当者なども強い関心をもっており,その最新の情報が待ち望まれている.色素の研究は単に水圏生物中における存在量を測定したり,生合成・分解経路を明らかにしたりするだけでは不十分であり,ヒトにおける消化吸収,代謝,生理機能発現機構の解明も含めた総合的な研究の必要性が認識されるようになっているが,従来これらの視点からの研究は極めて乏しく,その必要性が強く指摘されている.

 また,呼吸色素タンパク質のメト化やメラニン生成による甲殻類の黒変は,単に外観の変化をもたらすだけでなく,変色中に,あるいは既存の変色防止技術の適用により,栄養機能性を低下させたり,活性酸素などの有害物資の生成を促したりすることが明らかにされつつある.したがって,食品の安心・安全の視点からもその機構を明らかにして対策を講じることが重要視されている.
 本書は水圏色素の中でも特に重要なテトラピロール色素,カロテノイド,メラニンについて,一層の研究進展と研究成果の利用に資するため,最新の研究と成果の実用化事例についてまとめたものである.

I.テトラピロール色素タンパク質の化学と機能
1章 フィコビリタンパク質の機能(菅原達也)
2章 魚類ミオグロビンの構造安定性-褐変抑制の観点から(落合芳博)
3章 肉色に及ぼす酵素の影響 (有原圭三)
II. メラニン色素と魚介類の品質
4章 メラニン色素の化学(伊藤祥輔・若松一雅)
5章 メラニン生成による甲殻類の黒変と品質(平田 孝・足立亨介)
6章 養殖マダイのメラニン-その誘発因子と化学的定量(足立亨介・家戸敬太郎)
III.カロテノイド色素の生産と機能
7章 食品カロテノイドの吸収・代謝(長尾昭彦)
8章 カロテノイドと血管新生抑制(松原主典)
9章 カロテノイドの生産と利用 (山岡到保)
IV.環境制御による魚介類の変色防止
10章ガスバリア性材料を用いた環境制御包装による生鮮魚介の変色抑制(田中幹雄・綾木 毅・広瀬和彦)

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