乗馬の歴史

起源と馬術論の変遷

乗馬の歴史

文明と馬の関係から馬術競技成立に至る変遷

著者 エティエンヌ・ソレル
吉川 晶造
鎌田 博夫
ジャンル スポーツ・健康 > 乗馬
出版年月日 2005/06/15
ISBN 9784769910206
判型・ページ数 A5・480ページ
定価 本体4,300円+税
在庫 在庫あり

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第1・2部では、馬が食用動物でしかなかった先史時代から、古代アジアでの馬具の発明を皮切りに、その改良の歴史、調教法の発達史、戦争での活用法の変遷など文明と馬との関わりを追う。第3部では、近世のアカデミック馬術誕生以降のスポーツ馬術成立過程を時代を追って詳説。馬を乗りこなすための試行錯誤の歴史を体系立てて詳らかにした名著の翻訳本。


はじめに

 神が創造した最も美しいもの、人間が征服した最も高貴なもの、それは馬であると言われている。人間が馬とかかわりをもった最初の動機は何だったのだろう?本書ではその源から今日までの歴史がいろいろな視点(化石、洞窟壁画、絵画、彫刻、年代、地域、種族や部族間の争い、馬術やその達人、流派、獣医学、国家、軍隊、馬術学校、スポーツ、オリンピック競技など)を通して論述されている。著者の説からは、一貫して人間は馬に服従を強い、馬は黙々として人間に奉仕している構図、つまり人間に征服された馬の姿が読みとれる。人間は社会的、経済的、軍事的に自己の存在を主張し、生活水準の向上を目指し、馬をその用役に応じて各品種の異種交配を試み、体型、能力、性質などを改良してきた。いわば新品種の産みの親であり、目的達成のために調教する育ての親でもある(軍馬、馬車用にはノルマン種、競馬用のサラブレッドやトロッター、古典馬術のリピッツア、馬場馬術ではアングロ・アラブ、アングロ・ノルマン、狩猟に最適のリムーザン、アイリッシュ・ハンター、障碍飛越、野外騎乗に強いトラケーネン、ハノーバーなど多数)。
 あまりの交配のため本来の野生馬は姿を消したかに見えた。が、ターパンと呼ばれている野生馬はポーランド政府の保護のもとで現在も生息している。NHK「新シルクロード第三集草原の道、風の民」は、中国で40年前、野生馬が乱獲のため絶滅したので、政府が19世紀ロシアの探検家が連れ帰った野生馬の子孫を譲り受け、アルタイ山脈と天山山脈に囲まれたジュンガル盆地の草原で保護育成している光景を映している。野生馬がかつてのニホンカワウソやオオカミと同じ運命をたどらなかったのは誠に幸運で、止まることを知らない人類の文明が種の滅亡の元凶にならないことを切に願うものの1人として、馬と人間の共存共栄の旅が、機械文明の発達の波にさらわれることなく未来永劫、続いていくことを熱望する次第である。
 馬と人間が織りなす壮大な歴史の流れから、私のささやかな経験をすくい上げると、太平洋戦争中、町のあちこちで荷物を山のように積んだ荷馬車を汗を流しながら、息を切らしてひいて行く馬や行進する兵士の先頭に立つ馬の姿が現れる。国民皆兵の時代、馬の扱いに慣れていれば軍隊生活が苦にならないと聞かされ、少年時代に乗馬練習を開始、初めて乗った「勲功」という栗毛馬は驚いたことに右の耳に10円銅貨より大きい穴があいていた。中国戦線で弾丸が貫通した名誉の負傷である。その上、高齢のためこの栗毛は内地送還となり、乗馬クラブに払い下げられた由。戦況は悪化し、乗馬の余裕がなくなり1年で中止、15歳のとき敗戦となる。戦後、大学予科に在学中、馬術部に入部、乗馬を再開した。状況は一変し、遊牧民などは別として、乗馬は戦闘訓練からスポーツへと180度方向を転換、4年に1度のオリンピックで優勝することが馬術の重要な目標となる。各国はこの民族の祭典で成果を上げ、国威を発揚せんがため、優秀な選手の養成に力を入れ始める。私が翻訳を担当した第3部はこのような変貌や国の対応策を含め、16世紀以降の馬と人類の歴史を熱っぽく説いている。ご一読の上、不明な点などご指摘いただければ誠に有り難い。
(以下省略)

第1部 起源-先史時代
第1章 馬と人間
第2章 馬について
第3章 乗馬の進化
第4章 起源‐先史時代
第5章 乗馬年代記の試み

第2部 古代から中世へ
A.古代アジア
第6章 定住民定住民文明と遊牧民
第7章 原資料‐参考文献 図像学
第8章 馬と戦争
第9章 ステップ地帯の民族 モンゴル人とスキタイ人
第10章 古代の戦車
第11章 古代の馬 馬具
第12章 古代の馬術と騎馬隊
B.古典古代あるいはギリシア‐ローマ
第13章 ギリシア‐神話と現実
第14章 クセノフォン A.人物
第15章 クセノフォン B.馬事著書
第16章 『馬術論』
第17章 ローマ
第18章 ガリア人とガロ‐ロマン人
第19章 ゲルマン人 民族大移動 西ローマ帝国の崩壊
C.中世
第20章 ヌミディア人からサラセン人へ イスラム世界
第21章 アラビア人
第22章 ビザンティン
第23章 騎士制度

第3部 ルネサンス、近世から今日まで
第24章 ルネサンス16世紀
第25章 アカデミック馬術の誕生
第26章 スペインの馬
第27章 17世紀
第28章 フランス方式
第29章 フランス方式2
第30章 ウィーンのスペイン乗馬学校
第31章 ポルトガルの伝統 マリアルヴァ家
第32章 ゲッティンゲンとドイツ方式 プロシアのフリードリヒ2世
第33章 フランスにおける軍隊馬術
第34章 18世紀搖籃期のイギリス
第35章 獣医学 種馬牧場
第36章 19世紀および20世紀 フランス方式とソミュール
第36章(続き) ソミュール騎兵学校
第37章 1815年から現代までの社会生活における馬術
第38章 外国方式

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