望遠鏡以前の天文学

古代からケプラーまで

望遠鏡以前の天文学

地動説確立に至るまでの天文学の歴史

著者 クリストファー・ウォーカー
山本 啓二
川和田 晶子
ジャンル 天文学 > 天文学史・星座
出版年月日 2008/11/19
ISBN 9784769910855
判型・ページ数 A5・408ページ
定価 本体4,800円+税
在庫 在庫あり

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肉眼以外に天体観測手段のない古代、宇宙は創造力溢れる神話の世界だった。本書は、その宇宙観・天動説のほころびを繕うべくイスラーム世界やインドで発達した数理天文学がヨーロッパに伝播し、ケプラーによって地動説が確立されるまでの先人達の試行錯誤の歴史を大英博物館所蔵の貴重な資料と共に紹介する抄訳本。


はじめに

 天文学が世界で最も古い学問であることに疑いはない。天はわれわれの周りにあり,昼は太陽が支配し,夜は月と星が支配する。それらは立ち止まらない。それらは,ある地平線から別の地平線へとゆっくりと変わることなく動いている。それに対して,月は毎夜満ち欠けを見せ,惑星は星を背景にさまよう。われわれが住む地球は,おそらく何らかの神の仲介によってわれわれのために配置された天体と共に,初めは極めて重要であったに違いない。しかし,古代の人々はどれほど気づくことができたのだろうか。

 まずわれわれは,天文学の文脈で「古代」という言葉の意味を決定しなければならない。慣例では,中世はローマ帝国の没落で始まり,ルネサンスで終わる。しかし明らかに厳密で固定した境目はないのだ。天文学においては,明らかな時期が3つあると言うことができる。まず人々が空の現象に気づくようになるが,表面的な現象を解釈したり,観測するだけに留まった「黎明期」がある。いわば書記技術が発展するまで口伝以外に記録がなかった時期である。次に,科学的な観測が行われ,数学が単純な計算以上のものになった長い時期が来る。星は星座に分割され,太陽系の天体の運動が詳細に記録され,そして宇宙の広大さについて何らかの知識を得ることができた。さらに,天文学が日常において重要性を持つようになった。それは特に暦の採用においてであり,最終的には地図作成と航海においてもそうであった。次に,17世紀前半に最初の天体望遠鏡が現れた。望遠鏡の発明はオランダ人のハンス・リパーヘイによってなされた。新たな発明を聞いたガリレオは自分で器具を作り,それを空に向けた。その結果,天文学の全歴史を変える結果を得たのである。

 かつてはすべてを肉眼に頼らなければならなかった。これは,「自然科学的な天文学」がなかったことを意味した。実際に分かったことは,月面の明暗部分と時折現れる太陽黒点だけであった。事実,天文学は位置に関わるものだけであり,すべての解釈はこの限界を越えてなされなければならなかった。こうした状況を考えると,われわれは祖先たちが何とかして成し遂げたことにただ驚嘆するばかりである。

 差し迫ったひとつの問題は,古代においてはわれわれを導くものがほとんどないということである。前8世紀のエジプト,バビロニア,ギリシアの時代までは,書かれた記録は断片的であり,彗星や食のような驚くべき現象に時折言及したものは別として,実質的には何もない。中国の最古の記録は,「客星」,超新星,そしてもちろん空腹な龍の攻撃に起因する日食(そのための救済策は,龍を追い払うためにできるだけ物音を立てることであり,それはいつも効果があった)について伝えている。後の記録の多くは失われ,アレクサンドリア図書館の消失を埋め合わせすることはできない。プトレマイオスの『アルマゲスト』が今まで伝えられたことは幸運であった。もしそれがなかったなら,古代ギリシア科学について今よりもはるかにわずかしか分からなかったであろう。われわれがプトレマイオスから受けた恩義は実に大きなものである。彼を過小評価し,良くても模倣者で,最悪の場合には詐欺師だとしようとした何度かの企てはことごとく失敗してきたし,「天文学の第一人者」という彼の異名は的を射ているのである。しかし,プトレマオスの知識は地中海に限られており,時折バビロニアの観測記録に言及するだけであった。彼は遠くにいた人々のことは何も学ばなかったのである(以下略)。

エジプトの天文学
メソポタミアの天文学と占星術
プトレマイオスとその先行者たち
エトルリアとローマの天文学
ギリシア後期およびビザンツの天文学
紀元後千年間のヨーロッパの天文学:考古学的記録
インドの天文学
イスラーム世界の天文学
中世ヨーロッパの天文学
ルネサンスの天文学
中世後期およびルネサンスの天文器具
中国,朝鮮,日本の天文学
現代における古代天文学の活用

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