魚介肉内在性プロテアーゼ 183

最新の生化学と食品加工への応用

魚介肉内在性プロテアーゼ

魚介類の筋肉に内在する種々のプロテアーゼの構造や機能をまとめ,その特性を活かした魚肉ねり製品など水産加工食品への応用例を紹介

著者 長富 潔
吉田 朝美
原 研治
ジャンル 水産学 > 水産学シリーズ
シリーズ 水産学シリーズ
出版年月日 2016/03/25
ISBN 9784769915829
判型・ページ数 A5・156ページ
定価 本体3,600円+税
在庫 在庫あり

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プロテアーゼとはペプチド結合を加水分解する酵素の総称で,細胞内外の様々な場面で働く。魚介類の筋肉にも種々のプロテアーゼが内在し,魚肉ねり製品など水産加工食品の品質を左右する重要な因子の一つといえる。タンパク質解析や遺伝子技術等の発展とともに進んだ研究成果をまとめ,水産加工分野での応用例も紹介する。


まえがき 

 プロテアーゼ(protease)とはペプチド結合を加水分解する酵素の総称であり,多くのプロテアーゼが細胞内外の様々な場面で働いている.生物学や生化学の従来の教科書には,トリプシンなどの細胞外で作用する消化酵素がプロテアーゼの代表として詳述されてきた.近年は,生命維持のために細胞内でダイナミックに働いているプロテアーゼによるタンパク質分解系であるユビキチン・プロテアソーム系とオートファジー・リソソーム系に関する研究分野がめざましく進展している.

 一方で,水産加工食品の原料となる魚介類の筋肉にも,種々のプロテアーゼが内在しており,魚肉ねり製品をはじめとする加工食品の品質を左右する重要な因子の一つとされている.魚介肉内在性プロテアーゼの構造や機能に関する研究は,タンパク質解析技術や遺伝子工学技術の発展に伴い急速に進展し,新しい知見が日々蓄積されている.さらに現在,水産加工分野において,内在性プロテアーゼ活性を活用した介護食の開発や,同活性の抑制に着目した魚肉ねり製品の品質向上も試みられている.しかし,これらの多くの情報を取りまとめて解説した書籍は出版されていない.

 これまでに研究者,学生,水産加工業者向けに出版された魚介肉構成タンパク質と内在性酵素に関する書籍としては,水産学シリーズ「かまぼこの足形成-魚介肉構成タンパク質と酵素の役割」(関  伸夫・伊藤慶明 編,2001年),魚肉ねり製品全般に関するものとして2003年に刊行された「かまぼこ-その科学と技術」(山澤正勝・関  伸夫・福田  裕 編)がある.これらの書籍では,かまぼこの足形成に重要なミオシン,並びにミオシン以外の筋肉構成タンパク質の役割,内在性酵素(プロテアーゼを含む)のゲル形成および劣化への関与についてわかりやすく解説している.しかしながら,魚介肉内在性プロテアーゼの構造・機能に関する遺伝子・タンパク質レベルでの知見,内在性プロテアーゼの魚介肉構成タンパク質やゲル形成・劣化への関与についてはあまり触れられていない.また,内在性プロテアーゼおよびそのインヒビターの特性を巧みに利用した水産加工分野への応用についても扱われていなかった.

 そこでこれまでに蓄積された魚介類内在性プロテアーゼに関する最新の研究成果と,その水産食品加工への応用事例を広く紹介する目的で,平成27年度日本水産学会春季大会において,「魚介類内在性プロテアーゼ-基礎から水産食品加工への応用まで-」と題したシンポジウムを企画した.本書は,本シンポジウムにおける講演内容を「Ⅱ.魚介肉内在性プロテアーゼの構造・機能と魚介肉構成タンパク質への影響」,「Ⅲ.魚介肉内在性プロテアーゼおよびそのインヒビターの特性を活かした食品加工への応用」に取りまとめており,さらに,「プロテアーゼ」や「酵素」になじみのない読者に理解を深めていただくために新たに「Ⅰ.プロテアーゼの基礎」を加えて3部で構成されている.

 このように本書では,魚介肉構成タンパク質やゲル形成・劣化への内在性プロテアーゼの関与について,そしてその研究成果に基づいた魚肉ねり製品や魚肉ペースト製造への応用の具体例も紹介しており,研究者だけでなく水産加工業関係者,行政担当者にとっても水産加工分野の発展に向けて示唆に富む内容となっている.さらに,水産科学分野だけでなく,比較生化学分野でも関心の高い魚介類プロテアーゼの構造・機能に関する分子レベルでの最新の研究成果についても紹介している.したがって,とくに学生には水圏生化学関連の副読本として読んでいただければ,編者としては望外の喜びである.
 

Ⅰ. プロテアーゼの基礎 1章 プロテアーゼとそのインヒビター(長富 潔) Ⅱ. 魚介肉内在性プロテアーゼの構造・機能と魚介肉構成タンパク質への影響 2章 魚類リソゾーマルシステインプロテアーゼ(原 研治・吉田朝美・長富 潔) 3章 魚類可溶性セリンプロテアーゼ(吉田朝美・長富 潔・原 研治) 4章 魚類筋原線維結合型セリンプロテアーゼ(Min-Jie Cao・長富 潔) 5章 魚肉内在性プロテアーゼの加熱ゲル形成能への影響(高橋希元・岡崎惠美子・大迫一史) 6章 スルメイカ肉構成タンパク質と内在性メタロプロテアーゼ(今野久仁彦) Ⅲ. 魚介肉内在性プロテアーゼおよびそのインヒビターの特性を活かした食品加工への応用 7章 豆類由来トリプシンインヒビターを用いた魚肉ねり製品の品質向上技術(Le-Chang Sun・Qiu-Feng Cai・吉田朝美) 8章 魚肉ねり製品製造への米粉・米糠由来オリザシスタチンの応用(谷本昌太・近藤留未) 9章 有機酸塩を用いた魚介肉内在性プロテアーゼの抑制によるねり製品化技術(桑原浩一) 10章 内在性プロテアーゼの魚肉ペースト製造への応用(代田和也)

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